SlideShare a Scribd company logo
1 of 21
米国のペネトレーションテスト事情
2017/02/20 #ssmjp
Tomohisa Ishikawa
$ whoami
• Tomohisa Ishikawa
• セキュリティ・コンサルタント @ 某セキュリティ企業
• 専門:ペネトレーションテスト・インシデント・レスポンス etc.
• 対外発表経験
• SANSFIRE 2011, SANSFIRE 2012, DEF CON 24 SE Village,
LASCON 2016, Bsides Philly …
• 資格はたくさん
• CISSP, CISA, CISM, CFE, GPEN, GWAPT, GXPN, GWEB, GREM, GSNA, GCIH
• Social Media
• ブログ http://www.scientia-security.org/
• LinkedIn https://www.linkedin.com/in/tomohisaishikawa
• スライド https://www.slideshare.net/tomohisaishikawa
今日お話したいこと
• 1年間米国企業で、海外トレーニーとして滞在
• その中で感じたペネトレーションテストの違いに
ついてお話したいと思います。
• この発言は個人の見解であり、所属する組織の
公式見解ではありません。
日本で言うペネトレーションテストって…
• 某M社とか某L社とか某N社のページを見てみると..
• Webセキュリティ診断サービス
• プラットフォーム診断サービス
• 標的型攻撃診断サービス(メール訓練サービス・出口対策検証)
• 無線LAN診断サービス
• DDoS体制検証サービス
• 安全第一!!
• ※ ちなみにセキュリティ診断とペネトレーションテストをほぼ同じ意味で
使いますが、宗教上の理由でこの二つを一緒に語ることが許せない人
とは適当に読み替えてください。
(ちょっと煽りすぎだが…)
そもそも米国では、Penetration Test
という言葉が使われなくなりつつある。
Red Teamサービスでは何が変わるのか?
→診断対象が変わる(3領域全てをカバー)
Digital
Physical Social
• Webアプリケーション診断
• プラットフォーム診断
• 標的型診断(出口対策検証)
• 標的型診断(メール訓練)
• Vishing(Voice Phishing)
• OSINT
• テール・ゲーティング
• なりすまし
• IDカード・クローニング
• ネットワーク接続された
端末への物理攻撃
• エレベータ・ハッキング
• 物理アクセス突破
Red Teamサービスでは何が変わるのか?
→定義が違う
• Digital・Social・Physicalの攻撃ベクタを組み合わせて
管理された状態で実際の攻撃さながらの検査を行うこと
• Controlled but Real Intrusion
• 複数の専門家で構成される
• 攻撃者のマインドセットを持っていること
• コントロールの評価とBlue Teamの有効性の評価
• セキュリティ企業のサービスと提供される以外にも、ユーザ系企業の
一部門としてRed Teamを持っていることも多い。
Red Teamサービスでは何が変わるのか?
→ペネトレーションテストとは違う!!
• ペネトレーションテストというと、個別の評価技術をさす文脈で使われる
ことが多い。
Penetration Test Red Team
作業内容
ある観点から、脆弱性を見つけ、
評価し、悪用可否を検証すること
目的を達成するために必要な脆弱性を
見つけ、評価して悪用すること
方法論 静的な方法論 動的な方法論
攻撃者の
プロフィール
用意しない 用意する
セキュリティチームへ
の通知
(大抵の場合)あり なし
実施時間 業務時間中 24時間
最終ゴール 脆弱性の悪用 脆弱性悪用によるビジネス影響を評価
ケース1:物理ペネトレーションテスト
物理ペネトレーションテスト
• ゴール
• どこまで内部侵入して情報が取れるのか?
• 物理セキュリティの観点から正しく設計されていれば、ゾーニ
ングがされているため、どこまで突破できるのか調べる。
• やり方は色々
ケース2:標的型攻撃サービス
標的型サービス
• 米国のサービスレベルは大きく3種類に分類される。
• Awareness Phishing
• Penetration Test Phishing
• Red Team Phishing
Red Team Phishing
• 日本年金機構への攻撃をそのまま再現!!
• OSINTで情報収集(LinkedIn・リクルータを装う)
• 1~2名ほど選定して、攻撃メールを送付
• 発表ばかりの新鮮な脆弱性を利用
• PowerShellなどを活用してPost Exploitationを実行
• アカウント情報を盗んでパスワード解析をしたり
• Low & Slowの原則
• Red Team vs. Blue Team
まとめ
• 米国では、3領域をカバーするRed Teamサービスが主流と
なりつつある。
• 日本ではまだ実施されていない深度・種類のサービスも
登場しており、今後日本でもこのようなサービスが求められ
てくるのでは…
Bonus Session
Social-engineer.com
Christopher Hadnagy氏
Digital Penetration Test分野の話
• PowerShellを活用した攻撃が主流となりつつある。
• 最近のトレンドについては別の機会に
• ペネトレーションテスト系の資格
• CEH (by EC-Council)
• GIAC (by SANS)
• OSCP (by Offensive Security)
Thank you !!
Any Question ??
スライドは後日Slide Shareにアップロードします。
• メール scientia.admin@gmail.com
• ブログ http://www.scientia-security.org/
• スライド https://www.slideshare.net/tomohisaishikawa

More Related Content

Similar to 米国のペネトレーションテスト事情(ssmjp)

Microsoft Dynamics CRMで営業力と組織対応力を強化
Microsoft Dynamics CRMで営業力と組織対応力を強化Microsoft Dynamics CRMで営業力と組織対応力を強化
Microsoft Dynamics CRMで営業力と組織対応力を強化
kumo2010
 

Similar to 米国のペネトレーションテスト事情(ssmjp) (15)

心理的安全性の構造 デブサミ2019夏 structure of psychological safety
心理的安全性の構造 デブサミ2019夏 structure of psychological safety心理的安全性の構造 デブサミ2019夏 structure of psychological safety
心理的安全性の構造 デブサミ2019夏 structure of psychological safety
 
知ることから始めるセキュリティ対策
知ることから始めるセキュリティ対策知ることから始めるセキュリティ対策
知ることから始めるセキュリティ対策
 
ベストタイムは 23 時? グローバル開発チームとの付き合い方
ベストタイムは 23 時? グローバル開発チームとの付き合い方ベストタイムは 23 時? グローバル開発チームとの付き合い方
ベストタイムは 23 時? グローバル開発チームとの付き合い方
 
ビルド職人頼みの自社製品リリースを、CI可能にした取り組み
ビルド職人頼みの自社製品リリースを、CI可能にした取り組みビルド職人頼みの自社製品リリースを、CI可能にした取り組み
ビルド職人頼みの自社製品リリースを、CI可能にした取り組み
 
20170731 Arukikata! -IT Exhibition walking project-
20170731 Arukikata! -IT Exhibition walking project-20170731 Arukikata! -IT Exhibition walking project-
20170731 Arukikata! -IT Exhibition walking project-
 
CIA/AAR分析
CIA/AAR分析CIA/AAR分析
CIA/AAR分析
 
たくさんの失敗事例から学んだ 素早くWebサービスを作るコツ
たくさんの失敗事例から学んだ 素早くWebサービスを作るコツたくさんの失敗事例から学んだ 素早くWebサービスを作るコツ
たくさんの失敗事例から学んだ 素早くWebサービスを作るコツ
 
俺も受託開発〜準委任契約によるふつうのソフトウェア開発〜
俺も受託開発〜準委任契約によるふつうのソフトウェア開発〜俺も受託開発〜準委任契約によるふつうのソフトウェア開発〜
俺も受託開発〜準委任契約によるふつうのソフトウェア開発〜
 
開発レビューで心がけていること
開発レビューで心がけていること開発レビューで心がけていること
開発レビューで心がけていること
 
Growth for early stage startups (steve)
 Growth for early stage startups (steve) Growth for early stage startups (steve)
Growth for early stage startups (steve)
 
DMMで自己組織化に向けてやってきたこと
DMMで自己組織化に向けてやってきたことDMMで自己組織化に向けてやってきたこと
DMMで自己組織化に向けてやってきたこと
 
テスト駆動開発始めました!
テスト駆動開発始めました!テスト駆動開発始めました!
テスト駆動開発始めました!
 
Microsoft Dynamics CRMで営業力と組織対応力を強化
Microsoft Dynamics CRMで営業力と組織対応力を強化Microsoft Dynamics CRMで営業力と組織対応力を強化
Microsoft Dynamics CRMで営業力と組織対応力を強化
 
【Sgt2016】Agile人材の評価とキャリアプラン
【Sgt2016】Agile人材の評価とキャリアプラン 【Sgt2016】Agile人材の評価とキャリアプラン
【Sgt2016】Agile人材の評価とキャリアプラン
 
スマホゲームのチート手法とその対策 [DeNA TechCon 2019]
スマホゲームのチート手法とその対策 [DeNA TechCon 2019]スマホゲームのチート手法とその対策 [DeNA TechCon 2019]
スマホゲームのチート手法とその対策 [DeNA TechCon 2019]
 

More from Tomohisa Ishikawa, CISSP, CSSLP, CISA, CISM, CFE

More from Tomohisa Ishikawa, CISSP, CSSLP, CISA, CISM, CFE (9)

HDC2022:Track A - 脅威ハンティング
HDC2022:Track A - 脅威ハンティングHDC2022:Track A - 脅威ハンティング
HDC2022:Track A - 脅威ハンティング
 
Internet Week 2020:C12 脅威インテリジェンスの実践的活用法
Internet Week 2020:C12 脅威インテリジェンスの実践的活用法Internet Week 2020:C12 脅威インテリジェンスの実践的活用法
Internet Week 2020:C12 脅威インテリジェンスの実践的活用法
 
金融ISAC アニュアルカンファレンス 2020:Intelligence Driven Securityの「ことはじめ」
金融ISAC アニュアルカンファレンス 2020:Intelligence Driven Securityの「ことはじめ」金融ISAC アニュアルカンファレンス 2020:Intelligence Driven Securityの「ことはじめ」
金融ISAC アニュアルカンファレンス 2020:Intelligence Driven Securityの「ことはじめ」
 
Internet Week 2019:D2-3 攻撃者をあぶり出せ!! プロアクティブなセキュリティアプローチ
Internet Week 2019:D2-3 攻撃者をあぶり出せ!! プロアクティブなセキュリティアプローチInternet Week 2019:D2-3 攻撃者をあぶり出せ!! プロアクティブなセキュリティアプローチ
Internet Week 2019:D2-3 攻撃者をあぶり出せ!! プロアクティブなセキュリティアプローチ
 
CISO Mind Map v10(日本語版)
CISO Mind Map v10(日本語版)CISO Mind Map v10(日本語版)
CISO Mind Map v10(日本語版)
 
Internet Week 2018:D2-3 丸ごと分かるペネトレーションテストの今
Internet Week 2018:D2-3 丸ごと分かるペネトレーションテストの今Internet Week 2018:D2-3 丸ごと分かるペネトレーションテストの今
Internet Week 2018:D2-3 丸ごと分かるペネトレーションテストの今
 
[AVTOKYO 2017] What is red team?
[AVTOKYO 2017] What is red team?[AVTOKYO 2017] What is red team?
[AVTOKYO 2017] What is red team?
 
The Social-Engineer Village at DEF CON 24 : Does Cultural Differences Become ...
The Social-Engineer Village at DEF CON 24 : Does Cultural Differences Become ...The Social-Engineer Village at DEF CON 24 : Does Cultural Differences Become ...
The Social-Engineer Village at DEF CON 24 : Does Cultural Differences Become ...
 
ニューヨーク州金融サービス局 金融サービス企業に対するサイバーセキュリティ規制
ニューヨーク州金融サービス局 金融サービス企業に対するサイバーセキュリティ規制ニューヨーク州金融サービス局 金融サービス企業に対するサイバーセキュリティ規制
ニューヨーク州金融サービス局 金融サービス企業に対するサイバーセキュリティ規制
 

Recently uploaded

Recently uploaded (11)

LoRaWANスマート距離検出センサー DS20L カタログ LiDARデバイス
LoRaWANスマート距離検出センサー  DS20L  カタログ  LiDARデバイスLoRaWANスマート距離検出センサー  DS20L  カタログ  LiDARデバイス
LoRaWANスマート距離検出センサー DS20L カタログ LiDARデバイス
 
論文紹介: The Surprising Effectiveness of PPO in Cooperative Multi-Agent Games
論文紹介: The Surprising Effectiveness of PPO in Cooperative Multi-Agent Games論文紹介: The Surprising Effectiveness of PPO in Cooperative Multi-Agent Games
論文紹介: The Surprising Effectiveness of PPO in Cooperative Multi-Agent Games
 
LoRaWAN スマート距離検出デバイスDS20L日本語マニュアル
LoRaWAN スマート距離検出デバイスDS20L日本語マニュアルLoRaWAN スマート距離検出デバイスDS20L日本語マニュアル
LoRaWAN スマート距離検出デバイスDS20L日本語マニュアル
 
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)
業務で生成AIを活用したい人のための生成AI入門講座(社外公開版:キンドリルジャパン社内勉強会:2024年4月発表)
 
Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。
Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。
Amazon SES を勉強してみる その32024/04/26の勉強会で発表されたものです。
 
Amazon SES を勉強してみる その22024/04/26の勉強会で発表されたものです。
Amazon SES を勉強してみる その22024/04/26の勉強会で発表されたものです。Amazon SES を勉強してみる その22024/04/26の勉強会で発表されたものです。
Amazon SES を勉強してみる その22024/04/26の勉強会で発表されたものです。
 
論文紹介:Video-GroundingDINO: Towards Open-Vocabulary Spatio-Temporal Video Groun...
論文紹介:Video-GroundingDINO: Towards Open-Vocabulary Spatio-Temporal Video Groun...論文紹介:Video-GroundingDINO: Towards Open-Vocabulary Spatio-Temporal Video Groun...
論文紹介:Video-GroundingDINO: Towards Open-Vocabulary Spatio-Temporal Video Groun...
 
NewSQLの可用性構成パターン(OCHaCafe Season 8 #4 発表資料)
NewSQLの可用性構成パターン(OCHaCafe Season 8 #4 発表資料)NewSQLの可用性構成パターン(OCHaCafe Season 8 #4 発表資料)
NewSQLの可用性構成パターン(OCHaCafe Season 8 #4 発表資料)
 
論文紹介:Selective Structured State-Spaces for Long-Form Video Understanding
論文紹介:Selective Structured State-Spaces for Long-Form Video Understanding論文紹介:Selective Structured State-Spaces for Long-Form Video Understanding
論文紹介:Selective Structured State-Spaces for Long-Form Video Understanding
 
Observabilityは従来型の監視と何が違うのか(キンドリルジャパン社内勉強会:2022年10月27日発表)
Observabilityは従来型の監視と何が違うのか(キンドリルジャパン社内勉強会:2022年10月27日発表)Observabilityは従来型の監視と何が違うのか(キンドリルジャパン社内勉強会:2022年10月27日発表)
Observabilityは従来型の監視と何が違うのか(キンドリルジャパン社内勉強会:2022年10月27日発表)
 
新人研修 後半 2024/04/26の勉強会で発表されたものです。
新人研修 後半        2024/04/26の勉強会で発表されたものです。新人研修 後半        2024/04/26の勉強会で発表されたものです。
新人研修 後半 2024/04/26の勉強会で発表されたものです。
 

米国のペネトレーションテスト事情(ssmjp)