ソフトウェア構成管理入門

積極的なソフトウェア構成管理 
の活用方法
長沢智治
アトラシアン株式会社シニアエバンジェリスト
@tnagasawa re-workstyle.com
ソフトウェア構成管理の過去・現在

1996
インテック
ソフトウェアエンジニア
2000
Rational Software
プロセス改善コンサルタント
2003
日本アイ・ビー・エム
2005
Borland Software
ソリューションアーキテクト
2007
Microsoft
エバンジェリスト
プロダクトマネージャ
2014
シニアエバンジェリスト
監訳 / 共著書多数プレゼンテーション協力
Speaker

Agenda
1. 概要
2. 仕組み
3. 期待に応えるソフトウェア
ソフトウェア構成管理

Agenda
1. 概要
狭義と広義
構成要素
周辺構成

狭義と広義
1-1

狭義と広義
ソフトウェアの変更を 
コントロールし続けること
役割や成果物を橋渡しする
本来の責務に注力可能に

意図したソフトウェアを
作るために必要な基盤技術

意図したソフトウェアを
作るために必要な基盤技術
意図したソフトウェアへの課題
要求への適応
並行作業
分散化への対応
適正なリリース

意図したソフトウェアへの課題
要求への適応
並行作業
分散化への対応
適正なリリース
複雑さの軽減
ソフトウェア開発の複雑さの軽減への成果物からの 
アプローチがソフトウェア構成管理です。
複雑さの軽減は、他にもモデリングや、アーキテクチャなど 
も考えられます。

変更依頼 Change Requests
機能追加/バグ改修
要求の変更要求 / バックログ
ソースコード / スクリプト
ビルド成果物 / パッケージリリース
トリアージ
(CCB: 変更管理委員会) 広義の
狭義の
狭義のソフトウェア構成管理は、 
単にバージョン管理を言われることもあります。

構成要素 = 能力
1-2

構成要素 = 能力ソフトウェア構成管理
バージョン制御
ワークスペース制御ビルド/リリース制御
プロセス制御
の構成のバージョニング
の構成のバージョニング
ビルド成果物 / パッケージ
全体のオーガナイズとワークフロー
狭義のソフトウェア構成管理には、 
バージョン管理が含まれます。

ワークスペース制御
Work Products | Development
開発者
開発チーム
check out
check in / commit
バージョン管理リポジトリだけでなく、 
ワークスペースにも注目すべきです。

Work Products | Build
ビルド bot
開発チーム
check out
ビルド/リリース制御
store / deploy ビルド成果物ソフトウェア構成管理は、自動ビルドに 
とっても不可欠な基盤となります。

プロセス制御
Work Products
開発チーム
ソフトウェア開発は、チーム活動であり、 
同時並列作業であることを忘れてはなりません。

周辺構成
1-3

周辺構成
ソフトウェア構成管理プロセスの基本要素
サポートシステム

プロセスの基本要素
動機 / 行動
人 / 役割
成果物
プロセスの基本要素については、 
Rational Unified Process で明文化されています。

後行程動機 / 行動
人 / 役割
成果物
アサイン作業
前行程
プロセスの視点

動機 / 行動
人 / 役割
成果物
理由作業
前行程後行程
理由
役割の視点
作業者である「役割」から見ると、成果物は 
作業の結果であり、チームで共有するには 
「動機」づけが必要です。

動機 / 行動
人 / 役割
成果物
後行程
作業者
理由
成果物の視点
前行程成果物の視点では、前後関係や動機が不確かとなることが 
多くあります。これは、ソフトウェア構成管理だけでを実践する 
ことの難しさと言い換えることができます。

動機 / 行動
人 / 役割
成果物
前行程
後行程
作業者
理由
(狭義の) ソフトウェア構成管理の視点
プロセス改善をバージョン管理ツールの導入だけで 
行うケースが多いですが、実は困難なアプローチになる 
場合が多いことも知っておくとよいでしょう。

後行程動機 / 行動
人 / 役割
成果物
アサイン作業
前行程
Version Control System
Issue Tracking System
Automated Build

トリアージ
(CCB: 変更管理委員会)
ITS
SCM
CI

確認
1. 概要
狭義と広義
構成要素
周辺構成

プロセス制御

トリアージ
ITS
SCM
CI
複雑さの軽減によりいつでも構成を識別/公開できること

1. 概要
Agenda
2. 仕組み

1. 概要
2. 仕組み
特徴と中央集中管理
分散管理
導入指針
Agenda

特徴
ソフトウェア構成管理システム
2-1

特徴
プロセス制御
能力をサポートするシステム

リポジトリ
識別と再現
• 成果物の格納
• 成果物のバージョン化
• 成果物構成/関係のバージョン化
• 安全な成果物の識別
• 安全な成果物の取得と更新
• 安全な成果物の利用と引き渡し
特徴リポジトリ

リポジトリ
識別と再現
上書きの問題

リポジトリ
識別と再現

リポジトリ
識別と再現
自動ビルドにとっても 
ワークスペースは重要です。

ワークスペース制御バージョン制御
チェックイン / コミット
チェックアウト
ブランチマージ
リポジトリ
識別と再現

特徴
ビルド/リリース制御
どのバージョンで構成されているか？
どうビルドしたか？
どこにリリースしたか？
ビルドとリリース
ソースコードの識別と再現性だけでなく、ビルドとリリースの 
構成を識別することはあらゆるソフトウェアにとって重要です。

プロセス制御
特徴
• 維持
• 過度な属人性の排除
• ミスと手間の軽減
• 簡素化
目的
• ポリシー
• ACL
• 事前条件
• 事後条件
手段
プロセスとポリシー
プロセスとポリシーは、フォーマルな統制だけで
なく、人為的ミスの軽減や、均質化、ルーチンワークの
改善と軽減に繋がる戦略的なものです。

中央集中管理
2-1

中央集中管理

中央集中管理
特徴
• 単一リポジトリ
• 管理の集中化が容易
• 制御の集中化が容易
• 常にリポジトリに接続
例 Subversion (SVN) ¦ ClearCase ¦ TFS (TFVC)
ツールは、オンプレミスでの稼働が多いです。 
ホスティングサービスもありますが、限定的です。

分散管理 (DVCS)
2-2

分散管理 (DVCS)
remote
local
local
local
local
local
local
local
local
ワークスペースリポジトリ (分散) ワークスペース

分散管理 (DVCS)
remotelocal
ワークスペース
リポジトリ (分散) master
bugfix
clone

分散管理 (DVCS)
remotelocal
bugfix
master
bugfix
clone

分散管理 (DVCS)
remotelocal
bugfix
master
bugfix
commit
push

分散管理 (DVCS) の特徴
remotelocal
分散リポジトリ
• remote と作業環境分の local がある
• プロセス制御がしづらい傾向
local
master
bugfix
local リポジトリ
• 作業環境で独自にバージョン管理できる
• 影響を与えずにこまめに履歴を残せる
• 不必要な履歴は制御できる
• 分離と統合を個別に制御できる

特徴
• 分散リポジトリ
• 管理の分散化が容易
• 制御が複雑
• オフライン対応が容易
例 Git ¦ Mercurial (HG)
分散管理 (DVCS) の特徴
remotelocal
master
bugfix
master
bugfix
local
local

導入の指針
2-3

導入の指針
頻繁な変更がある (TDD など)
地理的に分散している
やり直しが利く
複雑なブランチ戦略
他システムとの連携
ソーシャルコーディング
分散バージョン管理システム
DVCS
ひとつでも当てはまれば

導入の指針
緩やかな変更がある
常にリポジトリに接続できる
堅実で公式な構成管理
定型的なブランチ戦略
他システム連携の事情
メンバーの成熟度
中央集中バージョン管理システム
CVCS
すべて当てはまれば

導入の指針
分散バージョン管理システムDVCS
アジャイルプラクティス
モダンブランチ戦略
広義のソフトウェア構成管理

導入の指針
アジャイルプラクティス
反復フィードバック
特徴：
プラクティスの例：
テスト駆動開発継続的インテグレーション

導入の指針
git-ﬂow：
Develop
Feature A
master
Release
Hotfix
Feature B
v 1.0 v 1.1 v 2.0
git-flow は、ベストプラクティスのひとつして知られ
ていますが、現場に応じて、よりシンプルな運営を 
することが重要です。複雑さをブランチで作らないように。

導入の指針
Pull Request Model (GitHub Flow)：
Develop
Feature A
push
remote
local
Feature A
Pull Request
merge
例 GitHub ¦ Bitbucket ¦ GitLab
プルリクエストは、多くの DVCS リポジ
トリシステムで採用されています。
GitHub, Bitbucket の SaaS 型が有名ですが、 
Bitbucket Server や GitHub Enterprise,
GitLab などのオンプレミス稼働もあります。

導入の指針
広義のソフトウェア構成管理
SCM
ITS
CI
変更依頼
要求の変更
要求
バックログ
ソースコード 
スクリプト
ビルド成果物 
パッケージリリース
トリアージ
DVCS に対応した ITS, CI システムが、増加し
ている傾向にあります。

導入の指針
変更依頼
要求の変更
要求
バックログ
ソースコード 
スクリプト
ビルド成果物 
パッケージリリース
トリアージ
ITS
SCM
CI
• JIRA
• Redmine
• Git
• Mercurial
• Jenkins
• Bamboo
• Circle CI

1. 概要
2. 仕組み
特徴と中央集中管理
分散管理
導入指針
確認

特に重要な仕組み
リポジトリ
バージョン制御識別と再現

中央集中バージョン管理システム
CVCS
2つの VCS
remote
local
local
local
分散バージョン管理システム
DVCS

Pull Request Model (GitHub Flow)：
Develop
Feature A
push
remote
local
Feature A
Pull Request
merge

2. 仕組み1. 概要
ビジネスとソフトウェア品質
積極的な構成管理
Agenda

DevOps
ビジネスニーズとソフトウェア品質
3-1

DevOps
ビジネス開発運用
ビジネス目標
売り上げ / 利益率
ユーザー数
生産性 / 稼働率
- ビジネス駆動ムーブメント
開発・運用のそれぞれのミッションと価値観
ではなく、ビジネス目標と KPI への戦略的な貢献
を継続的に意識する必要があります。

DevOps
ビジネス
- ビジネス駆動ムーブメント
開発運用
インシデント
問題
変更
アイデア/バグ
コード
リリース
ビジネスのリズム ¦ サイクルタイム・共同所有・透明性・自動化/省力化
ソフトウェア構成管理は、開発と運用の協調
のための情報インフラとしても不可欠となって 
きています。

DevOps
- ソフトウェア構成管理のスコープの拡大
開発運用
インシデント
問題
変更
アイデア/バグ
コード
リリース
共同所有
開発コード運用コード 
( IaC )
IaC : Infrastructure as Code によりインフ
ラのコード化が促進され、アプリとインフラを統
制だてて構成できるようになってきました。

DevOps
開発運用
インシデント
問題
変更
アイデア/バグ
コード
リリース
共同所有
( IaC )
ビジネスニーズビジネス価値
広義のSCM

積極的な
3-2

積極的な

成果物と作業の複雑化により、メンバーも 
マネジメントも本業ではなく、情報取集に時間を
とられる傾向があります。

成果物の一元化と、ITS による情報統制 (情報
Hub) により、本業に注力できる環境が整います。

アイデアビジネス価値
コードビルド
動くソフトウェアバックログ
ソフトウェア開発における 
情報の平易度、粒度、価値観はさまざまです。

コードビルド
動くソフトウェアバックログ
ITS
ITS
SCM CI
CI
ITS, SCM. CI により情報の流通を制御し、 
ソフトウェア開発の複雑度を軽減します。
SCM だけで改善できない点を注意します。

コード
バックログ
タスク
ソフトウェア構成管理は不可欠ですが、 
それだけではな、コミュニケーションと 
コラボレーションには不足している点と注意すべきです。

積極的な
•Flow of Value
•共同所有
•ソーシャルコーディング (集合知)
「Flow of Value」とは、アイデアがビジネス価値になるまでの流れを重視すべきということです。 
各工程での進捗よりも、価値をデリバリーできたかに重きを置きます。
「ソーシャルコーディング」は、フォーマルな構成管理より、知見に収集と改善能力に期待するアプローチで 
オープンソースプロジェクトで実践されているやり方です。このやり方により、新技術や要求が固まりにくい 
ソフトウェア開発でも、能力を最大化できることが期待されています。

2. 仕組み1. 概要
ビジネスとソフトウェア品質
積極的な構成管理
確認

DevOps
開発運用
インシデント
問題
変更
アイデア/バグ
コード
リリース
( IaC )
ビジネスニーズビジネス価値
広義のSCM

まとめ
1. 概要
2. 仕組み

Thank you!
Tomoharu Nagasawa • Senior Evangelist • Atlassian • @tnagasawa
無料で講演や現場訪問のご依頼を承ります。
お気軽に、ご連絡ください。
email: tnagasawa@atlassian.com

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