12/2「Think User First - Cookpad × Fablic #2」でクックパッド須藤が公開した資料です

1. 機能追加を行う際に考慮したい3つのポイント
∼三方良しサービス開発のススメ∼
クックパッド 検索編成部・須藤耕平
Think User First #2 - Cookpad Fablic -
2015/12/02

2. 自己紹介
•須藤耕平
•デザイナー（コード書いてる方が多いです…）
•現在は検索・編成部所属

3. 突然ですが、
機能追加は楽しいですよね?

4. •毎日魂込めてサービス作ってます
•マージしたコードをデプロイする度
に、昨日より便利になったと感じて
欲しい

5. とはいえ何も考えないとごちゃごちゃに…
•機能同士の役割の衝突
•利害関係の衝突
•設計思想と利用実態の乖離

6. よくあるサービス開発の流れ
•いいアイデアを思いついた
•テスト公開によって自分たちの指標
に対して良い成果を確認した
•マージだ！

7. ちょっと待って！！

8. これをやり続けると...
• 機能Aと機能Bって被ってない？
• 機能Cって有料だけど、機能Dの方が便利だよね
• 機能Eを追加したいんだけど、ここ広告枠だな…
• これ（機能F）何の為にあんの？

9. どうしたら？

10. 三方良しサービス開発

11. 三方良しとは？
•相手（買い手） よし
•自分（売り手）よし
•みんな（世間）よし
売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということ。
近江商人の心得をいったもの。

12. 三方良しサービス開発では
•機能の直接の受益者よし
•機能の提供者よし
•関連するサービスの提供者と、その
受益者よし

13. 自分たちと自分たちが見ている
ユーザーだけが満足では片手落ち

14. 三方良しサービス開発とは
•継続的なサービス改善を可能にする
土台作りのための考え方
•新しい画期的な何かとかでは無いです

15. 事例紹介

16. 「定番提案」（と呼んでいる）機能を検索結果ページに
追加したときの事例に沿って、三方良しサービス開発の
考え方を紹介します

17. 新機能「定番提案」とは？
• レシピ検索成功率向上のための施策
• 成功率の低い目的系クエリの検索を
サポートする機能

19. • 検索サービスの満足度を図る指標
• 特定の条件を満たして終了する「検索成功セッショ
ン」が全セッションに占める割合を示したもの
• この数値が高いほど、目的のレシピに到達し易い検
索体験を提供できていると考えている
検索成功率とは？

20. テストリリースで一定の成果を確認

21. よし、マージだ！

22. ちょっと待って！！

23. ここから三方良しを目指して...
STEP1. 検索結果ページの構成要素を見直す
STEP2. 過去の経緯や事例を見直す
STEP3. 仮説立て∼各種指標への影響を検証する

24. STEP1
ユーザーの検索時の行動動線から立ち返っ
て、検索結果ページの構成を見直す

25. 4つの検索モード
•認識不足モード
•調査探索モード
•既知項目検索モード
•再探索
オーストラリアのインフォメーションアーキテクトDonna Maurerによって提案された4つ
の情報探索モード

26. レシピ検索に当てはめてみると
• 認識不足モード
‣ ダイエットに関心があるが、何が有効かなど、全く知識の無い状態で探している
• 調査探索モード
‣ 冷めても美味しく食べることができるお弁当のおかずを探している
• 既知項目検索モード
‣ 簡単な回鍋肉の作り方を探している
• 再探索
‣ 以前に作った さんの⃝⃝というレシピを探している

27. 検索モードと機能をマッピングする

28. まとめると
•「定番提案」は認識不足モードを補
完するもの
• 認識不足に対応する機能が無いため、
統合・改修ではなく新設が良さそう
•単に要素を増やすのではなく、適切
な統廃合ができないか？

29. STEP2
過去の経緯や事例を見直す

30. 以前の検索結果ページの構成
•基本はプレーンなレシピリスト
•特定の１箇所に入会導線・広告
•ページ下部に関連サービスへの誘導
導線

31. カード型UIの採用と
統合検索枠の新設による改善

32. カード型UIの採用
•レシピリストの間に柔軟に関連サー
ビスの導線を挿入可能に

34. 統合検索枠の追加
•多腕バンディットによる表示コンテ
ンツの最適化

35. 得られた知見
•一長一短
•成功率という観点では、間に挟まって
るものが少ないほど高くなる
•各カードのパフォーマンスを下げずに、
どこまで要素を減らせるかという視点
で仮説立てするのが良さそう

36. STEP３
仮説立て∼各種指標への影響を検証する

37. 仮説１
定番提案と入会導線を兼ねたデザインに
することで、入会減にならずに成功率を
上げられるか？

38. 作ってみる

39. Before

40. After

41. 検証

42. 今回のテストの途中経過が好調なのを見て、
比較対象である元々の入会導線のデザイン
がアップデートされるハプニング(?)が…

44. 結果
複雑だったのもあり、失敗

45. 仮説2
複数ある入会導線を１箇所に統合し、代
わりに定番提案を挿入することで、入会
減にならずに成功率を上げられるのでは？

46. 作ってみる

47. Before

48. After

49. 検証

50. 結果
仮説通り！！

51. 減らした枠の一つに定番提案を挿入

52. やったことを整理すると
• 検索結果の要素を増やすことなく（むしろ減った）
• 関連するサービスの指標に影響なく（むしろ増えた）
• 認識不足をサポートするための枠を新設し (継続的改善
にプラス)
• レシピを決めやすくできた（提供者・受益者の満足）

53. 三方良し！

54. まとめ

55. 機能追加を行う際に考慮しておきたいポイント その1
• 単一の目的の機能追加自体も大変だが、 それ
を既存のサービスの中に適切な状態で投入する
こと自体にもハードルがあることを理解する

56. • 三方良しを意識して、ひとつで複数の問題を解
決するプロダクトリリースを
機能追加を行う際に考慮しておきたいポイント その２

57. • なにより、こちらの都合ではなく、ユーザーの
行動動線に合わせた導線設計・サービス設計を
機能追加を行う際に考慮しておきたいポイント その3

58. 最後に

59. こういうのはデザイナーさんの
腕の見せ所だと思ってます

60. こういう視点でサービス設計∼開発∼検証を
やれるデザイナーさん、是非一緒にお仕事し
ましょう！
https://recruit.cookpad.com/

61. ご静聴ありがとうございました