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マーケットという大空を飛ぶために
               ユーザーストーリーという地図を携えて




               Yoshinori Wakizaka | 10th Dec 2011 at DevLOVE HangarFlight - Snow Barrage -



11年12月11日日曜日
Work experience
                              Yoshinori Wakizaka
                              Project Manager, Mobile/ Smartphone


                              経歴
                              Experiences

                                 2002.4 - 2008.7
                                 (株)東芝
                                 ・User Researcher
                                 ・UI Designer

                                 2008.8 - 2010.3
                                 ノキアジャパン(株)
                                 ・Usability Engineer

                                 2010.04 - 2011.12
         yoshinori wakizaka
                                 楽天(株)
         @wackiesrock            ・Usability Specialist
                                 ・Project Manager
11年12月11日日曜日
Work experience

       •   UIデザイナー

       •   ユーザーリサーチャー

       •   HCDスペシャリスト

       •   ユーザビリティエンジニア

       •   サービスディレクター

11年12月11日日曜日
Key message

    ストーリーでより良いUXを設計する
    •ユーザーの利用コンテクストを理解する

    •デザインのアイディアを創造する

    •サービスやソフトウェアのクオリティを改善する




11年12月11日日曜日
Background




11年12月11日日曜日
これまで:デバイス主導の時代
    •様々なデバイスでインターネットを利用




11年12月11日日曜日
デバイスは単独で世界を形成


                                    Internet
                                     Web

        Mobile
                                        Access
                 Messaging


                                                         Digital
               Mobile                 PC
                             Sync                Sync   Camera



11年12月11日日曜日
これから:サービス主導の時代




11年12月11日日曜日
サービスプラットフォームが中心に


                                  Internet
                        Search, Share, SNS, Storage


                  Access              Access              Access



                                                       Digital
               Mobile               PC
                           Sync                Sync   Camera




11年12月11日日曜日
マルチデバイス化
    •サービスのマルチデバイス対応
    •プロダクトからプラットフォームへ(主従関係の逆転)
    •サービスを使うためのデバイス




11年12月11日日曜日
デバイスへの最適化




11年12月11日日曜日
ユーザーエクスペリエンスのフロー
   Unbox the digital camera to take picture


  Start                                                      Start

               パッケージデザイン       ドキュメンテーション




                           User experience

                                ハードウェアデザイン          ソフトウェアデザイン




               Unbox                                     Shooting
                                   Setting    Shooting
                                               picture
11年12月11日日曜日
Story for customer experience
    •製品だけで完結しないユーザー経験
    •アプリの購入/インストール
    •サービスの利用を通じた長期的な利用経験

               店舗での購入経験        開梱、セットアップ   製品利用




                          物語の中での利用経験MIX
          Webでの購入経験           サービス利用経験

                                              Web/アプリ利用経験




11年12月11日日曜日
利用コンテクストの多様化




   TV Everywhere – Thoughts on designing for multiple devices
   http://sherylyulin.com




11年12月11日日曜日
Agenda


       •ストーリーについて
         Try to draw a big picture about Story


       •ストーリーのつくり方、使い方
         Crafting a story, telling the story




11年12月11日日曜日
ストーリーについて
                Drawing a big picture about Story




11年12月11日日曜日
ストーリーとは?




11年12月11日日曜日
ストーリーとは?



      時間軸に沿った出来事の流れ

               Context   Event   Emotion

                                                   Context   Event
                                 Context   Event




11年12月11日日曜日
11年12月11日日曜日
アネクドート(逸話): 個人的な体験を表す出来事


                  Event     Event    Event




    プロット: キャラクターに起こった出来事の筋立て

               Event      Event     Event    Event




    シナリオ:連続した出来事を説明するもの

               Event      Event     Event    Event




11年12月11日日曜日
11年12月11日日曜日
ナラティブ: 個人的な経験に関する物語

               Context      Event     Context   Event    Emotion     Event




    ジャーニー:個人的な感情の変化を含めた流れ

                    Event           Emotion      Event         Emotion




     ストーリー:最も広義の意味で使われるストーリー

               Context      Event     Emotion

                                                         Context     Event
                                      Context   Event


11年12月11日日曜日
キャラクターをストーリーに組み込む




               プロファイル   デモグラフィックデータ+コンテクスト




11年12月11日日曜日
キャラクターをストーリーに組み込む




               キャラクター   ペルソナ+内面的な心の動き&行動




                 ペルソナ   エモーショナルなゴール+UXの全体像




               プロファイル   デモグラフィックデータ+コンテクスト




11年12月11日日曜日
キャラクターをストーリーに組み込む

                Context   Event   Emotion

                                                    Context   Event
                                  Context   Event




               キャラクター        ペルソナ+内面的な心の動き&行動




                  ペルソナ       エモーショナルなゴール+UXの全体像




               プロファイル        デモグラフィックデータ+コンテクスト




11年12月11日日曜日
Concrete, Rich


                   Concrete             Event
                                                  Rich
                              Event
    シナリオ                                                 ストーリー
                                Event     Event




               Concrete(シナリオ)
               情報を切り出して再利用しやすい形に纏める

               Rich(ストーリー)
               リッチコンテクスト、エンゲージメント

11年12月11日日曜日
Scenario & Story

     •タスクシナリオ:タスク手順を可視化して設計に応用

                    Event           Event       Event        Event




     •UXストーリー:リッチな要素により理解を深める
               Context      Event     Emotion

                                                        Context      Event
                                      Context   Event




11年12月11日日曜日
User Story Mapping




11年12月11日日曜日
Experience journey map                                           Experience Journey Map Cooking


                 献立                                   買い物                               調理                          食事                           片付け                                     献立

                                                      スーパー XX                      あれ?カレーのルーはどこかしら?                ツナサラダモンって、             余ったものは、はかりに乗せるだけね。
               今日の晩御飯は何にしようかしら?                                                                                    すごく強いんだよ。
                                                                                                                                                                         タカシ くんは、
                                      ゆっくり買い物
                                                                                                                           ツナと玉ねぎは食べ合わせ                                  カルシウム が不足
                                      ができるわ。                                                             最近のゲームは
                                                                                                         すごいなー!
                                                                                                                           の相性がいいからね∼♪                         スマート計り    しています。
                                                                   よーし、モンスター
                                                                   つかまえるぞー!                                                                                                              大変! 牛乳!牛乳!




                         スマート冷蔵庫
                                                                                                                                                                            昨日の摂取カロリー
                                                                                                                                                                              1525kcal




     今日は カレー、
            肉じゃが、
     豚肉の生姜焼きが、おすすめです。                    トマトモン見つけた!                            ルーはどこ?

                                                                                  カレールー は、
                                                                                  棚の2段目
                                                                                  左奥にあります。                               食材と食材が融合し
                                                                                                                         料理モンスターとな
                                                                                                                         る。相性の良い食材                                       『食べモンスター』のアバター情報
                                                                                                                         を合わせると強いモ                                       (アバター=子どもの分身)が冷蔵
     カレーとサラダにしましょう。
                                                                                                                         ンスターができるの                                        庫に表示され、母親は子どもの健
                                                                                                                         で子供の食育には                                         康状態が一目で分かる。
                        *冷蔵庫の中身
                                                                                                                         もってこいのアプリ。             まき子の特製カレー
                        *賞味期限
                        *スーパーのセール情報                                                                                                             日付:2011.3.24
                        *旬の食材                                                                                                                   重さ:300g
                        *家族の健康状態

                        などから、             トマトモン               スマートフォンをかざすと、             冷蔵庫や棚など、キッチン周り
                        メニューをレコメンド。      *能力:リコピン爆弾           食材がモンスターに見える。             にある食材や調味料の場所を
                        あらかじめ 家族構成、      *体力 :15 日            モンスターのステータスは、             サイネージにマッピング。
                        好き嫌い、アレルギー                            栄養素や賞味期限と対応。              音声認識によって通知。
                        などの情報を入力。


                                                                                                                                                                        はい、今日からちゃんと
                                                                                                                                             はかりに料理や食材を乗せる              牛乳を飲みましょうね。
     冷蔵庫アプリ                                                                                                                                  と、日付や分量などの情報が
                                                                                                                                             シールとなって出てくる。もち                                       はーい !!

                                                                                                                                             ろん、冷蔵庫にもデータが転送
                      メニューを選ぶと、必要       トマト苦手だけど、モンスター                          お母さん、最近
                                                                                                                                             される。また、シールには IC チッ
                      な食材が買い物リストに       つかまえたいからゲットしよう!                         ツナ缶モンの元気がないよ。
      *にんじん                                                                                                                                  プが埋め込まれ、調味料などに
                                                                                                                                                                                         ミ
                      追加。                                                                                                                    貼れば、位置情報なども発信さ                              ル
      *だいこん                                                                                                                                                                              ク
                                                                                                                                             れ冷蔵庫に入っていない物でも
                                                                                  あら、そうなの? じゃ
      *じゃがいも                                                                                                                                 管理が可能。
                                                                                  あ、ツナ缶モンもトマ
      *たまねぎ                                                                       トサラダに入れてあげ
                            あら、
                              便利!!
                                          ¥¥¥                                     ましょうか。


                                                     ETC レジ


    食べモン(アプリ)

                      買い物リストが
                      モンスターの捕獲リスト
      *               ととして表示。


      *
                          モンスター集めて
                          強くなるぞ!      レジ ETC を通ると、
                                      自動的にカード決済
                                      され、購入した食材
                                      リストのデータは自
                                                                                 食材の賞味期限が近付くと、
                                      宅の冷蔵庫に転送。
                                                                                 モンスターが弱ってくる




    慶応大学 武山研究室
    Experience journey lab http://experience-journey-lab.com/theme01/journeymap_zukuri/

11年12月11日日曜日
ストーリーのつくり方
    How to create stories?




11年12月11日日曜日
人間中心設計の    利用の状況の
                必要性の特定     把握と明示




                          システムが特定の
               要求事項に対する              ユーザと組織の
                          ユーザ及び組織の
                設計の評価                要求事項の明示
                          要求事項を満たす




                           設計による
                          解決策の作成




11年12月11日日曜日
ストーリーを集める                                            ストーリーを選ぶ

                           テストシナリオ
                          としてのストーリー   そして私は…




                                人間中心設計の        利用の状況の
                                 必要性の特定         把握と明示
         UXの担当者            ユーザビリティ調査の参加者




                                               システムが特定の
                               要求事項に対する                   ユーザと組織の
                                               ユーザ及び組織の
                                設計の評価                     要求事項の明示
                                               要求事項を満たす




               ストーリー

                                      デザイン                           ストーリー    ストーリー
                                      アイデア      設計による
                                               解決策の作成
                                                                     分類してまとめたストーリー




                                                                     ストーリー    ストーリー



                                                             UXチーム
                  UXチーム




       ストーリーを使う                                           ストーリーを作る
11年12月11日日曜日
ストーリーを集める                                            ストーリーを選ぶ
      ・ユーザーリサーチ            テストシナリオ                        ・カードソーティング
      ・フィールドワーク           としてのストーリー   そして私は…

                                                          ・親和図法
      ・エスノグラフィ                                            ・KJ法
      ・文脈的質問法                                             ・ペルソナ
      ・インタビュー 人間中心設計の
               必要性の特定
                                               利用の状況の
                                                把握と明示
         UXの担当者            ユーザビリティ調査の参加者




                                               システムが特定の
                               要求事項に対する                   ユーザと組織の
                                               ユーザ及び組織の
                                設計の評価                     要求事項の明示
                                               要求事項を満たす




               ストーリー

                                      デザイン                ・シナリオ      ストーリー    ストーリー

      ・ウォークスルー                        アイデア      設計による
                                               解決策の作成     ・ストーリーボード
      ・ユーザビリティテスト                                         ・ワイヤーフレーム
                                                                     分類してまとめたストーリー



      ・分析                                                 ・プロトタイピング  ストーリー    ストーリー



                                                             UXチーム
                  UXチーム




       ストーリーを使う                                           ストーリーを作る
11年12月11日日曜日
ストーリーを集める
11年12月11日日曜日
ストーリーを集める方法

   ログをみる                   聞く、観察する




   • サーチログ                 • ヒアリング
   • サーバログ                   - ユーザー
   • オンラインフォーラム / コミュニテイ     - ビジネスステークホルダー
   • カスタマーサービスの記録            - 同僚
   • トレーニングとセールスデモの記録      • 観察
   • マーケティング部門 / 顧客満足度調査
   • ユーザビリティ調査ログ
11年12月11日日曜日
ログをみる


      定量的データ
      • サーバログ
      • サーチログ


      定性的データ
      • オンラインフォーラム / コミュニテイ
      • カスタマーサービスの記録
      • トレーニングとセールスデモの記録
      • マーケティング部門 / 顧客満足度調査
      • ユーザビリティ調査ログ
11年12月11日日曜日
聞く、観察する




    よい聞き手になる       観察する
    • アクティブリスニング   • 「当たり前」は話さない
                   • 「無意識」の行動は話せない

11年12月11日日曜日
アクティブリスニング

        •関心を向ける、受け入れる
        •確かめたいフレーズを復唱する
        •相手の意図について振り返る
        •相手の言いたいことを解釈する
        •気持ちや経験を要約する、統合する
        •思いや共感をフィードバックする
        •相手の言うことを支持する
        •知覚したものが妥当かどうか確かめる
        •黙っている:考える時間を与える
11年12月11日日曜日
インタビューの構成
    1. あなたが話したい活動についての話題を築く質問から始める。

    「○○をしたことがありますか?」
    質問はオープンクエスチョン(「はい」「いいえ」で答えられる質問)から始める。

    2. テーマが相手にどれだけあてはまっているのかを質問する。

    「○○はよくどのようにしますか?」
    「なぜ○○しようと決めたのですか?」
    「会社や家でいつもすることを教えてください。」
    この質問への標準的な回答を示唆してもよい。

    3. 特定の事例について考えてもらう。

    「最近○○をしたのはいつですか?」
    4. 特定の出来事が頭に浮かんだら、その状況を繰り返して、正しく理解する。

    「そのことについて教えてください。」
11年12月11日日曜日
ストーリーを選ぶ
11年12月11日日曜日
いいストーリーを選択する


      素材                選択
                                ストーリーボード

          Log
                Event

          Log                           UXストーリー

                Event        P5 - ジミー


          Log
                                                    デモグラフィックス                安心してオンラインバンキングを利用
                                                    ・20代中盤                   することはできないが、オンラインショ
                                                    ・どこかの大学生                 ップで買い物をするだろう。
                                                    ・自宅でウェブを利用している           スポーツの試合結果をみるためにウェ
                                                    ・造園家として働いている             ブを利用する。
                                                                             ホテルをオンラインで予約したことが
                                                                             ある。
                                                                             新しいことはウェブで検索して調べる。


                             コメント、引用、
                             ・私はただ、
                                     ストーリー

                              アップした時に、
                                               ペルソナ
                                      これを自分のホームページとして使います。
                                         そのページが表示されるからです。
                                                             何故ならウェブでサイン     お気に入りのページ:
                                                                             ISP(ホームページ)
                             ・ストーリー  :彼の妹は、 インターネットで誤って自分が欲しいものとは別のものを       ヤフー
                              買ってしまった。   この注文をキャンセルしようとしたが、   それはできなかった。 彼   ESPN
                              らは彼女の返品を受け付けようとはしなかった。      そこで彼女は、 最終的にその商    Travelocity and Expedia
                              品の代金をクレジットカードで支払った。     それは、 さほど高い買い物ではなかっ     YouTube
                              たが、  家族は皆、 この悲惨な物語を彼女から聞かされている。    そして長い間、彼    WebMD
                              をオンラインから遠ざけている。                                SportsAuthority
                             ・試合結果を控えておくのに、    ESPNを使っている。友達は、 携帯電話にスコアを
                              送るのに 何か を使っていて、   ジミーもそれを使いたいと思っている。           ニーズ:慣れ親しんだサイトでする様に
                             ・Youtubeが大好きで、友達と おばかな ビデオをたくさん見ている。            失敗すること を恐れないようにしたい




11年12月11日日曜日
Juicyなストーリーとは?


     •複数の人から聞いたストーリー
     •詳しい行動を述べたストーリー
     •ユーザーを理解しやすくするストーリー
     •UXチームの興味を惹くストーリー
     •意見を覆すが、説得力のあるストーリー

11年12月11日日曜日
ペルソナカード
        P5 - ジミー

                               デモグラフィックス                安心してオンラインバンキングを利用
                               ・20代中盤                   することはできないが、オンラインショ
                               ・どこかの大学生                 ップで買い物をするだろう。
                               ・自宅でウェブを利用している           スポーツの試合結果をみるためにウェ
                               ・造園家として働いている             ブを利用する。
                                                        ホテルをオンラインで予約したことが
                                                        ある。
                                                        新しいことはウェブで検索して調べる。


        コメント、引用、ストーリー
        ・私はただ、   これを自分のホームページとして使います。   何故ならウェブでサイン     お気に入りのページ:
         アップした時に、   そのページが表示されるからです。                    ISP(ホームページ)
        ・ストーリー  :彼の妹は、 インターネットで誤って自分が欲しいものとは別のものを       ヤフー
         買ってしまった。   この注文をキャンセルしようとしたが、   それはできなかった。 彼   ESPN
         らは彼女の返品を受け付けようとはしなかった。      そこで彼女は、 最終的にその商    Travelocity and Expedia
         品の代金をクレジットカードで支払った。     それは、 さほど高い買い物ではなかっ     YouTube
         たが、  家族は皆、 この悲惨な物語を彼女から聞かされている。    そして長い間、彼    WebMD
         をオンラインから遠ざけている。                                SportsAuthority
        ・試合結果を控えておくのに、    ESPNを使っている。友達は、 携帯電話にスコアを
         送るのに 何か を使っていて、   ジミーもそれを使いたいと思っている。           ニーズ:慣れ親しんだサイトでする様に
        ・Youtubeが大好きで、友達と おばかな ビデオをたくさん見ている。            失敗すること を恐れないようにしたい




11年12月11日日曜日
ストーリーを作る
11年12月11日日曜日
構造×要素




        要素           Context             Image



               視点   コンテクスト     キャラクター   心的イメージ   言葉遣い




        構造



11年12月11日日曜日
構造×要素




                         Image

  構造
               Context


                                 Context           Context           Image

                                           Image
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11年12月11日日曜日
ストーリーの構造


      •規範的構造:穴埋めで作るストーリー
      •英雄的構造:英雄が旅に出て帰ってくる構造
      •新しいものに親しむ:次第に新しいトピックを混ぜる
      •フレーム化:始まりと終わりが似ている構造
      •階層化:ユーザーエクスペリエンスを階層的に構成



11年12月11日日曜日
ストーリーの構造
       •構造(パタン)を使ってユーザーストーリーをつくる

                           日常の世界



               日常世界への帰還             冒険へのきっかけ




                           世界の境界線




                 目的の達成              はじまりと試練




                           冒険の世界



                          英雄的構造
11年12月11日日曜日
バスを待つ(英雄的構造)
      [アクションへの呼びかけ]氷雪の中で作業させられることほど気の滅入るものはありません。公共の交通機
      関を使うときは特にそうです。[拒絶]サンドラは毛布を頭までかぶって、病欠の電話をしようかどうかを考
      えていました。自分がどれだけ雪を好きじゃないかを考えながら、ラジオの広告を聞いていたのです。何十回
      も聞いたことがある広告でしたが、ちゃんと聞いたのはこれが初めてでした。
      [超自然的な]「RideFindがあれば」、「バスが今どこにいるのか、二度と考える必要はないでしょう。」
      と、広告は説明していました。[冒険を受け入れる]「そうよ」、彼女は思った。「これを試す時がきたんだ
      わ。」 [儀式と試練]一時間後、彼女は起き上がり、着替えて出発の準備をしました。
      [試練]外に出ると、彼女の家の玄関の両側に雪がかき分けられ、山のように積上っていました。 [試練]歩
      道を歩いていると、地面が凍っているせいで滑って転んでしまいました。彼女は地面に尻    をつきながら、玄
      関を物欲しそうに眺めて思いました。今なら無事に家に帰って、病欠の電話ができるのです。[試練]彼女は
      立ち直りながら、1台のバスがゆっくりと通り過ぎて行くのを見ました。彼女が乗る路線のバスでしょうか?そ
      れとも違うバスでしょうか?これは、RideFindの番号を試すのにちょうどよいタイミングに思えました。[試
      練]彼女はバス停の標識があるポールの前に滑り込み、標識から雪を払って、ラジオ広告が言う通りに停留所
      の番号を見つけました。
      [目標の達成]そこで彼女は携帯を取り出しました。そして、手袋を外しました。番号を打って…返事が来る
      のを待ちます。この時もしバスが15分以上来なかったら、引き返して家に帰っていたでしょう。数秒後、さっ
      そく返信が来ました。[帰還(暗黙的)]バスはあと10分で到着するそうです。 [知識を利用する]彼女が
      待っている間に他にも人が来たので、サンドラはよい知らせを教えてあげました。[解決]その朝、二人とも
      無事仕事に間に合いました。



11年12月11日日曜日
ストーリーの要素


      •視点:ストーリーが語られる視点
      •コンテクスト:環境、いつ?どこで?
      •キャラクター:どんな人が?
      •心的イメージ:ストーリーが喚起する視覚的イメージ
      •言葉遣い:キャラクターの言葉遣い、話のスタイル



11年12月11日日曜日
コンテクストの種類

      •物理的コンテクスト
        - 時刻、月/時期、物理的な場所、場所の広さ、大きさ

      •情緒的コンテクスト
        - キャラクターの心の動き、嬉しい、悲しいなど

      •知覚的コンテクスト
        - 臭い、味、音、質感

      •歴史的コンテクスト
        - 歴史的な背景;携帯電話の無かった頃は∼

      •記憶コンテクスト
        - 過去への個人的な結びつき

11年12月11日日曜日
心的イメージ
      •オーディエンスが想像する視覚的なイメージのこと
    ロボットの研究開発を行っているiRobot社は、自社のウェブサイトでPackBotという自社製品
   のビジョンストーリーを伝えています。PackBotは小さなタンク型のロボットで、人間が立ち入
   るには危険な場所で活動するために設計されています。全て遠隔操作で、写真を送ったり単純な
   機械的作業を行うことができます。PackBotの機構は複雑で、大勢のエンジニアが長い年月をか
   けて開発しました。特に機構設計では、いつもの挑戦と挫折がありました。
    PackBotが活躍する場所の一つに、不発弾の危険が残る戦争地域があります。そこでは、
   PackBot Scooby-Dooと名付けられた兵団がたくさんの不発弾を探索しました。彼らはその義務
   を立派に果たした後、現在iRobotの本社で展示されています。彼らは自分が見つけた爆弾によっ
   て破壊されました。しかし兵士たちは何一つ置き去りにせず、彼らの全ての破片を入念に集めて
   持ち帰ってきたのです。
    Scooby-Dooは現在、粉々の状態で会社のロビーに展示されています。この展示は、もしロボッ
   トの代わりに人間が被害に遭っていたらどうなっていたのかを想像させてくれます。技術的な挑
   戦や避けがたい挫折に対処する中でiRobotの従業員がしていることは、突き詰めると人の命を救
   うことになるです。Scooby-Dooは、毎日ビルに入る度にこのことを思い出させてくれます。

11年12月11日日曜日
心的イメージを加える

      [イメージ要素なし]
      ・5時。彼女はレポートに取り組んでいた。

      [物理的コンテクストを追加]
      ・一日が終ろうとしていた。彼女のオフィスの壁は、今朝行ったブレインストーミン
      グの要点を説明したポストイットで覆われていた。レポートはうまく進んでいた。

      [物理的+情緒的コンテクストを追加]
      ・もうどれぐらい時間が経ったのか彼女には分からなかったが、オフィスは静かだっ
      た。オフィスの壁は今朝行ったブレインストーミングの要点を説明したポストイット
      で覆われていた。机の上にはプリントの山が積み重なっていた。半分かじりかけのサ
      ンドイッチがデスクの端においてあり、長い間忘れ去られている。そこで聞こえるの
      は、彼女の指がキーボードの上をカチカチと走る音だけだった。




11年12月11日日曜日
Storytelling Workshop @webUX研究会


      •”読書体験”をお題にして、ストーリーを作成
      •アクティブリスニングによりアネクドートを抽出
      •階層構造を使って”読書体験”のバリューを表現
      •ターゲットオーディエンスにストーリーを語る




11年12月11日日曜日
Findings from the Workshop

      成果

      •要素の抽出とストーリーへの反映はうまくいった
      •個人の経験に基づいた話には、感情移入できる
      •コンテクストやディテールをリッチにすることができた

      課題

      •ゴールや視点を規定しないとナラティブになりがち
      •ストーリーの客観性を担保する意識づけが必要
      •ストーリーの妥当性を評価するステップが必要
11年12月11日日曜日
ストーリーを使う
11年12月11日日曜日
ストーリーで共感を得る


      •ターゲットオーディエンスの理解を得る
        - オーディエンスについて理解する
      •   ストーリーはオーディエンスの言葉で語ること
      •   オーディエンスの興味のポイントからそれないこと
      •   ターゲットオーディエンスの視点から語ること

        - ミラーストーリーにならないよう気をつける
      •   ミラーストーリー(自分自身のストーリー≒ナラティブ)にならないようにする
      •   何人かの視点を入れる、客観性を担保する
      •   オーディエンスをストーリーに取り込んでしまう




11年12月11日日曜日
ストーリーで評価する



      •ストーリーがユーザ評価のシナリオになる
        - ユーザビリティ評価のタスクシナリオに活用する
      •   ストーリーはユーザビリティ評価のタスクに使うことができる
      •   実際の利用コンテクストに沿ったユーザビリティ評価が可能になる
      •   評価結果をストーリーに反映することで、ストーリーをブラッシュアップ

        - デザインレビューにストーリーを活用する
      •   ストーリーを元にシステムをウォークスルーすることで、評価の精度があがる
      •   ユーザーの視点で評価対象を見ることができる
      •   ストーリーも同時に評価することができる




11年12月11日日曜日
デザインのアイディアを生む


      •ストーリーを利用して新しいデザインを生み出す
        - ストーリーからはじまるブレインストーミング
      •   ブレインストーミングゲーム:穴埋め形式で新しいストーリーをつくる
      •   アイディアの発散:テンプレをもとにストーリーを出してアイディアを量産する
      •   アイディアの深堀:一つのストーリーを選んでディテールを検討する

        - デザインのアイディアをストーリーでわかりやすく伝える
      •   規範的なストーリー:仕様やシナリオの詳細を補足する
      •   アイディアを始めて聞く人にもわかりやすく伝えることができる
      •   技術仕様をユーザーエクスペリエンスをベースにわかりやすく伝えることができる




11年12月11日日曜日
ストーリーを開発に活用する
               UIの設計
                User Story      User Story     User Story       User Story




                             Event        Event             Event




               Context   Event
                                                            Context    Event
                                     Context   Event


           利用コンテクストの理解
11年12月11日日曜日
UXストーリーの使い分け



               Concrete             Event
                                              Rich
                          Event
    シナリオ                                             ストーリー
                            Event     Event



  •要件の洗い出し                                    •利用コンテクストの理解
  •タスクの可視化                                    •コンセプトの共有
  •重要度の整理                                     •創造のための触媒




11年12月11日日曜日
まとめ
     より良いUXを設計するために
     •ストーリーには2つの使い道がある

        •UXストーリー:理解、エンゲージメント

        •シナリオ:可視化、設計

     •目的に応じた構造(パタン)がある

     •オーディエンスのことを考慮して話す


11年12月11日日曜日
Appendix: reference book & contacts
   ユーザーエクスペリエンスのための
   ストーリーテリング
   よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方

   Twitter @story4ux
   Facebook page: Story4UX
   Whitney Quesenbery & Kevin Brooks [著]
   UX TOKYO [訳]
   [出版社] 丸善出版
   [原著出版社] Rosenfeld Media

   UX TOKYOとは?
   グローバルなUX関連読書会ムーブメント「UXBC」の東京支部を前身とす
   るUX実務家向けの勉強会・ネットワーキングを目的としたコミュニティ。

               Our website http://uxtokyo.org
               Twitter @uxtokyo
   Rosenfeldmedia Blog & book site
   www.rosenfeldmedia.com/books/storytelling/
   Illustrations available under Creative Commons
   www.flickr.com/photos/rosenfeldmedia/


11年12月11日日曜日

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  • 30. ストーリーのつくり方 How to create stories? 11年12月11日日曜日
  • 31. 人間中心設計の 利用の状況の 必要性の特定 把握と明示 システムが特定の 要求事項に対する ユーザと組織の ユーザ及び組織の 設計の評価 要求事項の明示 要求事項を満たす 設計による 解決策の作成 11年12月11日日曜日
  • 32. ストーリーを集める ストーリーを選ぶ テストシナリオ としてのストーリー そして私は… 人間中心設計の 利用の状況の 必要性の特定 把握と明示 UXの担当者 ユーザビリティ調査の参加者 システムが特定の 要求事項に対する ユーザと組織の ユーザ及び組織の 設計の評価 要求事項の明示 要求事項を満たす ストーリー デザイン ストーリー ストーリー アイデア 設計による 解決策の作成 分類してまとめたストーリー ストーリー ストーリー UXチーム UXチーム ストーリーを使う ストーリーを作る 11年12月11日日曜日
  • 33. ストーリーを集める ストーリーを選ぶ ・ユーザーリサーチ テストシナリオ ・カードソーティング ・フィールドワーク としてのストーリー そして私は… ・親和図法 ・エスノグラフィ ・KJ法 ・文脈的質問法 ・ペルソナ ・インタビュー 人間中心設計の 必要性の特定 利用の状況の 把握と明示 UXの担当者 ユーザビリティ調査の参加者 システムが特定の 要求事項に対する ユーザと組織の ユーザ及び組織の 設計の評価 要求事項の明示 要求事項を満たす ストーリー デザイン ・シナリオ ストーリー ストーリー ・ウォークスルー アイデア 設計による 解決策の作成 ・ストーリーボード ・ユーザビリティテスト ・ワイヤーフレーム 分類してまとめたストーリー ・分析 ・プロトタイピング ストーリー ストーリー UXチーム UXチーム ストーリーを使う ストーリーを作る 11年12月11日日曜日
  • 35. ストーリーを集める方法 ログをみる 聞く、観察する • サーチログ • ヒアリング • サーバログ   - ユーザー • オンラインフォーラム / コミュニテイ   - ビジネスステークホルダー • カスタマーサービスの記録   - 同僚 • トレーニングとセールスデモの記録 • 観察 • マーケティング部門 / 顧客満足度調査 • ユーザビリティ調査ログ 11年12月11日日曜日
  • 36. ログをみる 定量的データ • サーバログ • サーチログ 定性的データ • オンラインフォーラム / コミュニテイ • カスタマーサービスの記録 • トレーニングとセールスデモの記録 • マーケティング部門 / 顧客満足度調査 • ユーザビリティ調査ログ 11年12月11日日曜日
  • 37. 聞く、観察する よい聞き手になる 観察する • アクティブリスニング • 「当たり前」は話さない • 「無意識」の行動は話せない 11年12月11日日曜日
  • 38. アクティブリスニング •関心を向ける、受け入れる •確かめたいフレーズを復唱する •相手の意図について振り返る •相手の言いたいことを解釈する •気持ちや経験を要約する、統合する •思いや共感をフィードバックする •相手の言うことを支持する •知覚したものが妥当かどうか確かめる •黙っている:考える時間を与える 11年12月11日日曜日
  • 39. インタビューの構成 1. あなたが話したい活動についての話題を築く質問から始める。 「○○をしたことがありますか?」 質問はオープンクエスチョン(「はい」「いいえ」で答えられる質問)から始める。 2. テーマが相手にどれだけあてはまっているのかを質問する。 「○○はよくどのようにしますか?」 「なぜ○○しようと決めたのですか?」 「会社や家でいつもすることを教えてください。」 この質問への標準的な回答を示唆してもよい。 3. 特定の事例について考えてもらう。 「最近○○をしたのはいつですか?」 4. 特定の出来事が頭に浮かんだら、その状況を繰り返して、正しく理解する。 「そのことについて教えてください。」 11年12月11日日曜日
  • 41. いいストーリーを選択する 素材 選択 ストーリーボード Log Event Log UXストーリー Event P5 - ジミー Log デモグラフィックス 安心してオンラインバンキングを利用 ・20代中盤 することはできないが、オンラインショ ・どこかの大学生 ップで買い物をするだろう。 ・自宅でウェブを利用している スポーツの試合結果をみるためにウェ ・造園家として働いている ブを利用する。 ホテルをオンラインで予約したことが ある。 新しいことはウェブで検索して調べる。 コメント、引用、 ・私はただ、 ストーリー  アップした時に、 ペルソナ これを自分のホームページとして使います。 そのページが表示されるからです。 何故ならウェブでサイン お気に入りのページ: ISP(ホームページ) ・ストーリー :彼の妹は、 インターネットで誤って自分が欲しいものとは別のものを ヤフー  買ってしまった。 この注文をキャンセルしようとしたが、 それはできなかった。 彼 ESPN  らは彼女の返品を受け付けようとはしなかった。 そこで彼女は、 最終的にその商 Travelocity and Expedia  品の代金をクレジットカードで支払った。 それは、 さほど高い買い物ではなかっ YouTube  たが、 家族は皆、 この悲惨な物語を彼女から聞かされている。 そして長い間、彼 WebMD  をオンラインから遠ざけている。 SportsAuthority ・試合結果を控えておくのに、 ESPNを使っている。友達は、 携帯電話にスコアを  送るのに 何か を使っていて、 ジミーもそれを使いたいと思っている。 ニーズ:慣れ親しんだサイトでする様に ・Youtubeが大好きで、友達と おばかな ビデオをたくさん見ている。 失敗すること を恐れないようにしたい 11年12月11日日曜日
  • 42. Juicyなストーリーとは? •複数の人から聞いたストーリー •詳しい行動を述べたストーリー •ユーザーを理解しやすくするストーリー •UXチームの興味を惹くストーリー •意見を覆すが、説得力のあるストーリー 11年12月11日日曜日
  • 43. ペルソナカード P5 - ジミー デモグラフィックス 安心してオンラインバンキングを利用 ・20代中盤 することはできないが、オンラインショ ・どこかの大学生 ップで買い物をするだろう。 ・自宅でウェブを利用している スポーツの試合結果をみるためにウェ ・造園家として働いている ブを利用する。 ホテルをオンラインで予約したことが ある。 新しいことはウェブで検索して調べる。 コメント、引用、ストーリー ・私はただ、 これを自分のホームページとして使います。 何故ならウェブでサイン お気に入りのページ:  アップした時に、 そのページが表示されるからです。 ISP(ホームページ) ・ストーリー :彼の妹は、 インターネットで誤って自分が欲しいものとは別のものを ヤフー  買ってしまった。 この注文をキャンセルしようとしたが、 それはできなかった。 彼 ESPN  らは彼女の返品を受け付けようとはしなかった。 そこで彼女は、 最終的にその商 Travelocity and Expedia  品の代金をクレジットカードで支払った。 それは、 さほど高い買い物ではなかっ YouTube  たが、 家族は皆、 この悲惨な物語を彼女から聞かされている。 そして長い間、彼 WebMD  をオンラインから遠ざけている。 SportsAuthority ・試合結果を控えておくのに、 ESPNを使っている。友達は、 携帯電話にスコアを  送るのに 何か を使っていて、 ジミーもそれを使いたいと思っている。 ニーズ:慣れ親しんだサイトでする様に ・Youtubeが大好きで、友達と おばかな ビデオをたくさん見ている。 失敗すること を恐れないようにしたい 11年12月11日日曜日
  • 45. 構造×要素 要素 Context Image 視点 コンテクスト キャラクター 心的イメージ 言葉遣い 構造 11年12月11日日曜日
  • 46. 構造×要素 Image 構造 Context Context Context Image Image Image 11年12月11日日曜日
  • 47. ストーリーの構造 •規範的構造:穴埋めで作るストーリー •英雄的構造:英雄が旅に出て帰ってくる構造 •新しいものに親しむ:次第に新しいトピックを混ぜる •フレーム化:始まりと終わりが似ている構造 •階層化:ユーザーエクスペリエンスを階層的に構成 11年12月11日日曜日
  • 48. ストーリーの構造 •構造(パタン)を使ってユーザーストーリーをつくる 日常の世界 日常世界への帰還 冒険へのきっかけ 世界の境界線 目的の達成 はじまりと試練 冒険の世界 英雄的構造 11年12月11日日曜日
  • 49. バスを待つ(英雄的構造) [アクションへの呼びかけ]氷雪の中で作業させられることほど気の滅入るものはありません。公共の交通機 関を使うときは特にそうです。[拒絶]サンドラは毛布を頭までかぶって、病欠の電話をしようかどうかを考 えていました。自分がどれだけ雪を好きじゃないかを考えながら、ラジオの広告を聞いていたのです。何十回 も聞いたことがある広告でしたが、ちゃんと聞いたのはこれが初めてでした。 [超自然的な]「RideFindがあれば」、「バスが今どこにいるのか、二度と考える必要はないでしょう。」 と、広告は説明していました。[冒険を受け入れる]「そうよ」、彼女は思った。「これを試す時がきたんだ わ。」 [儀式と試練]一時間後、彼女は起き上がり、着替えて出発の準備をしました。 [試練]外に出ると、彼女の家の玄関の両側に雪がかき分けられ、山のように積上っていました。 [試練]歩 道を歩いていると、地面が凍っているせいで滑って転んでしまいました。彼女は地面に尻 をつきながら、玄 関を物欲しそうに眺めて思いました。今なら無事に家に帰って、病欠の電話ができるのです。[試練]彼女は 立ち直りながら、1台のバスがゆっくりと通り過ぎて行くのを見ました。彼女が乗る路線のバスでしょうか?そ れとも違うバスでしょうか?これは、RideFindの番号を試すのにちょうどよいタイミングに思えました。[試 練]彼女はバス停の標識があるポールの前に滑り込み、標識から雪を払って、ラジオ広告が言う通りに停留所 の番号を見つけました。 [目標の達成]そこで彼女は携帯を取り出しました。そして、手袋を外しました。番号を打って…返事が来る のを待ちます。この時もしバスが15分以上来なかったら、引き返して家に帰っていたでしょう。数秒後、さっ そく返信が来ました。[帰還(暗黙的)]バスはあと10分で到着するそうです。 [知識を利用する]彼女が 待っている間に他にも人が来たので、サンドラはよい知らせを教えてあげました。[解決]その朝、二人とも 無事仕事に間に合いました。 11年12月11日日曜日
  • 50. ストーリーの要素 •視点:ストーリーが語られる視点 •コンテクスト:環境、いつ?どこで? •キャラクター:どんな人が? •心的イメージ:ストーリーが喚起する視覚的イメージ •言葉遣い:キャラクターの言葉遣い、話のスタイル 11年12月11日日曜日
  • 51. コンテクストの種類 •物理的コンテクスト   - 時刻、月/時期、物理的な場所、場所の広さ、大きさ •情緒的コンテクスト   - キャラクターの心の動き、嬉しい、悲しいなど •知覚的コンテクスト   - 臭い、味、音、質感 •歴史的コンテクスト   - 歴史的な背景;携帯電話の無かった頃は∼ •記憶コンテクスト   - 過去への個人的な結びつき 11年12月11日日曜日
  • 52. 心的イメージ •オーディエンスが想像する視覚的なイメージのこと  ロボットの研究開発を行っているiRobot社は、自社のウェブサイトでPackBotという自社製品 のビジョンストーリーを伝えています。PackBotは小さなタンク型のロボットで、人間が立ち入 るには危険な場所で活動するために設計されています。全て遠隔操作で、写真を送ったり単純な 機械的作業を行うことができます。PackBotの機構は複雑で、大勢のエンジニアが長い年月をか けて開発しました。特に機構設計では、いつもの挑戦と挫折がありました。  PackBotが活躍する場所の一つに、不発弾の危険が残る戦争地域があります。そこでは、 PackBot Scooby-Dooと名付けられた兵団がたくさんの不発弾を探索しました。彼らはその義務 を立派に果たした後、現在iRobotの本社で展示されています。彼らは自分が見つけた爆弾によっ て破壊されました。しかし兵士たちは何一つ置き去りにせず、彼らの全ての破片を入念に集めて 持ち帰ってきたのです。  Scooby-Dooは現在、粉々の状態で会社のロビーに展示されています。この展示は、もしロボッ トの代わりに人間が被害に遭っていたらどうなっていたのかを想像させてくれます。技術的な挑 戦や避けがたい挫折に対処する中でiRobotの従業員がしていることは、突き詰めると人の命を救 うことになるです。Scooby-Dooは、毎日ビルに入る度にこのことを思い出させてくれます。 11年12月11日日曜日
  • 53. 心的イメージを加える [イメージ要素なし] ・5時。彼女はレポートに取り組んでいた。 [物理的コンテクストを追加] ・一日が終ろうとしていた。彼女のオフィスの壁は、今朝行ったブレインストーミン グの要点を説明したポストイットで覆われていた。レポートはうまく進んでいた。 [物理的+情緒的コンテクストを追加] ・もうどれぐらい時間が経ったのか彼女には分からなかったが、オフィスは静かだっ た。オフィスの壁は今朝行ったブレインストーミングの要点を説明したポストイット で覆われていた。机の上にはプリントの山が積み重なっていた。半分かじりかけのサ ンドイッチがデスクの端においてあり、長い間忘れ去られている。そこで聞こえるの は、彼女の指がキーボードの上をカチカチと走る音だけだった。 11年12月11日日曜日
  • 54. Storytelling Workshop @webUX研究会 •”読書体験”をお題にして、ストーリーを作成 •アクティブリスニングによりアネクドートを抽出 •階層構造を使って”読書体験”のバリューを表現 •ターゲットオーディエンスにストーリーを語る 11年12月11日日曜日
  • 55. Findings from the Workshop 成果 •要素の抽出とストーリーへの反映はうまくいった •個人の経験に基づいた話には、感情移入できる •コンテクストやディテールをリッチにすることができた 課題 •ゴールや視点を規定しないとナラティブになりがち •ストーリーの客観性を担保する意識づけが必要 •ストーリーの妥当性を評価するステップが必要 11年12月11日日曜日
  • 57. ストーリーで共感を得る •ターゲットオーディエンスの理解を得る   - オーディエンスについて理解する • ストーリーはオーディエンスの言葉で語ること • オーディエンスの興味のポイントからそれないこと • ターゲットオーディエンスの視点から語ること   - ミラーストーリーにならないよう気をつける • ミラーストーリー(自分自身のストーリー≒ナラティブ)にならないようにする • 何人かの視点を入れる、客観性を担保する • オーディエンスをストーリーに取り込んでしまう 11年12月11日日曜日
  • 58. ストーリーで評価する •ストーリーがユーザ評価のシナリオになる   - ユーザビリティ評価のタスクシナリオに活用する • ストーリーはユーザビリティ評価のタスクに使うことができる • 実際の利用コンテクストに沿ったユーザビリティ評価が可能になる • 評価結果をストーリーに反映することで、ストーリーをブラッシュアップ   - デザインレビューにストーリーを活用する • ストーリーを元にシステムをウォークスルーすることで、評価の精度があがる • ユーザーの視点で評価対象を見ることができる • ストーリーも同時に評価することができる 11年12月11日日曜日
  • 59. デザインのアイディアを生む •ストーリーを利用して新しいデザインを生み出す   - ストーリーからはじまるブレインストーミング • ブレインストーミングゲーム:穴埋め形式で新しいストーリーをつくる • アイディアの発散:テンプレをもとにストーリーを出してアイディアを量産する • アイディアの深堀:一つのストーリーを選んでディテールを検討する   - デザインのアイディアをストーリーでわかりやすく伝える • 規範的なストーリー:仕様やシナリオの詳細を補足する • アイディアを始めて聞く人にもわかりやすく伝えることができる • 技術仕様をユーザーエクスペリエンスをベースにわかりやすく伝えることができる 11年12月11日日曜日
  • 60. ストーリーを開発に活用する UIの設計 User Story User Story User Story User Story Event Event Event Context Event Context Event Context Event 利用コンテクストの理解 11年12月11日日曜日
  • 61. UXストーリーの使い分け Concrete Event Rich Event シナリオ ストーリー Event Event •要件の洗い出し •利用コンテクストの理解 •タスクの可視化 •コンセプトの共有 •重要度の整理 •創造のための触媒 11年12月11日日曜日
  • 62. まとめ より良いUXを設計するために •ストーリーには2つの使い道がある •UXストーリー:理解、エンゲージメント •シナリオ:可視化、設計 •目的に応じた構造(パタン)がある •オーディエンスのことを考慮して話す 11年12月11日日曜日
  • 63. Appendix: reference book & contacts ユーザーエクスペリエンスのための ストーリーテリング よりよいデザインを生み出すストーリーの作り方と伝え方 Twitter @story4ux Facebook page: Story4UX Whitney Quesenbery & Kevin Brooks [著] UX TOKYO [訳] [出版社] 丸善出版 [原著出版社] Rosenfeld Media UX TOKYOとは? グローバルなUX関連読書会ムーブメント「UXBC」の東京支部を前身とす るUX実務家向けの勉強会・ネットワーキングを目的としたコミュニティ。 Our website http://uxtokyo.org Twitter @uxtokyo Rosenfeldmedia Blog & book site www.rosenfeldmedia.com/books/storytelling/ Illustrations available under Creative Commons www.flickr.com/photos/rosenfeldmedia/ 11年12月11日日曜日