More Related Content More from Yasushi Hara (20) 経営学 Ii 34. 講義予定 (後期)
1. 2013/9/25: イントロダクション: 経営学Ⅰの振り返り -「組織」と
「戦略」について2. 2013/10/2: 企業成長 (1) : どのようにして企業は成長するのか
3. 2013/10/9: 企業成長 (2) : 参入戦略, 成長戦略と組織
4. 2013/10/16: グローバル戦略 (1) : そもそもグローバルって何だろ
う?
5. 2013/10/23: (休講; 学会@ロッテルダム 参加のため)
6. 2013/10/30: グローバル戦略 (2) : グローバル化に対応した組織
7. 2013/11/6: イノベーション(1) : イノベーションの種類
8. 2013/11/13: イノベーション(2) : 研究開発とイノベーション
9. 2013/11/20: 中間テスト
5. 講義予定 (後期)
9. 2013/11/27: 研究開発 (1) : なぜ企業は研究開発をするのか
10. 2013/12/4: 研究開発 (2) :研究開発とICT技術
11. 2013/12/11: NPO (1) : 非営利企業と営利企業の違い
12. 2013/12/18: NPO (2) : 非営利企業の組織と戦略 (ゲスト講義; 決定!)
13. 2014/1/8: イノベーションと経済・経営: ナショナル・イノベーショ
ン・システム
14. 2014/1/15:イノベーションと経済・経営: 日本企業の経営課題
15. 2014/1/22: イノベーションと経済・経営: 知的財産とイノベーション
16. 2014/1/29: 期末テスト
9. 最適参入戦略
• II, III と VI の場合
• 内部開発が有効
• IV, VII と VIII の場合
• 外部資源活用形の戦略が有効
• I の場合
• 「市場ノウハウ未知+技術ノウハウ既
存」
• IXの場合
• 「市場ノウハウ既存+技術ノウハウ未
知」
=> 欠けている知識を補うジョイントベン
チャーが有効 (バイオベンチャーと製薬企
業のアライアンス)
10. 製薬企業とベンチャーのアライアンス例
• 創薬系ベンチャー支援基金設
立 三菱UFJキャピタルと
第一三共
• 三菱ベンチャーキャピタルの
三菱UFJキャピタル(東京
都中央区)と第一三共は17
日、創薬系ベンチャー企業の
技術開発を支援するファンド
(基金)を設立したと発表し
た。「OiDE(オイデ)
ファンド」の総額は10億円
で、このうち三菱UFJキャ
ピタルが2億円、第一三共が
1億円、中小企業基盤整備機
構も4億5000万円を出資
した。基金からは1社当たり
1億円前後、8社を出資する
計画。開発初期段階のベン
チャー企業を資金面で支援す
る。ベンチャー企業の株式、
特許などの知的財産を第一三
共が買い取ることで、早期のhttp://www.mucap.co.jp/newslist/OiDE/tabid/77/Default.aspx
実用化を後押しする。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130918/bse1309180502000-n1.htm
11. 最適参入戦略(続き)
• V の場合
• 社内ベンチャーが有効
• 知識も技術も「ある程度」はあるけれ
ど、事業化や収益化にはギャップがあ
る
• 完全に未知の領域ではないし、完全に既知
の領域でもないビジネス領域
• Ex.) パーソナルコンピューター市場
(DOS/V PC) に社内ベンチャーで進出した
IBM
14. 外部資源活用型の成長戦略と組織
• 「make or buy」 - 必要なものを中で作るか、外から買うか
• 1980年代
• 日本企業 – 内部成長重視型
• しかし, トヨタのようにケイレツシステムを構築することで「一定程度」外部調
達する企業も存在
• アメリカ企業 – 外部調達型成長重視型
• しかし, デュポンやIBMのように内部成長型も存在
=>二者択一的な選択問題だった
15. 外部資源活用型の成長戦略と組織
• 近年 : 「二兎を追う」 A (acquisition) &D (development) 戦略
• 外部調達と内部成長を同時に実行している企業が数多く存在
• 例1. インテル
• 内部の技術開発によって優れた新製品を定期的に発表
• 外部からの新技術買収、ベンチャーキャピタル事業によってスタートアップ企業
から知識やノウハウを吸収し, 新製品やソリューション開発に反映させる
• 例2. シスコシステムズ
• 年間10件ほどの買収を実施
• 社内の開発を強化することで, 被買収事業部門の付加価値を高める
18. (Pitts, 1977)
• 内部開発で成長した企業の特徴
• 本社レベルの研究開発従事者が多く、
技術開発が全社的なイニチアシブで進
められる
• 複数事業部をまたぐヨコの人事異動が
行われる
• 事業部マネージャーの業績評価は、上
長の判断を重視した主観性の高い評価
によって行われる
⇒事業部間の資源の共有を高め、異質な
資源や技術を社内で組み合わせ企業内
部で新事業を創出する
• 外部調達で成長した企業の特徴
• 本社レベルの技術開発従事者が尐ない
• 事業部間の人材移動が尐数かつ限定的で
ある
• 事業部マネージャーの業績評価は、客観
的な(数値的な)基準に基づき、事業部
に対する本社の介入は一般的な方向づけ
と財務的支援に限られている
⇒ 経験豊かな人材を事業の買収後も引き
止めなければ、ノウハウを手に入れるこ
とはできない。それゆえに、個々の自由
度を高めることが彼らのインセンティブ
になる. 一方, 事業部間の資源共有は軽視さ
れる.
21. 必須レポートの内容 (予定)
• テーマ
• 日本企業の海外進出・世界規模展開の戦略に関するケーススタディ
• 提出方式
• 紙(神大フォーマット)
• DotCampas 経由でWord 形式で提出 (コピペチェック)
• 2000-3000文字程度
• 時期
• 中間試験後から, 12月18日まで
• その他
• 図書を指定予定
22. ゲスト講義
• 12/18 日 (年内最終の講義)
• NPOの代表理事さんをお呼びします
• 営利企業と非営利企業の違いについて聞いて、お話してもらう
予定です
29. 3M の社内ベンチャー
• 3M : アメリカを代表する科学系大企業
• 主な消費者向け製品: コッチテープやポストイット
• 社内ベンチャーによって新しい事業を創成し, それを企業成長の
種としてきた.
30. 3M 社内ベンチャーのプロセス
• 1. アイディアを思いついた人間は, 自分のアイデアの商品化を目指し
て「密造」をはじめる (aka 闇研究) 従業員は自分の就業時間の15%
は自分の夢 (新しい製品 etc…) に使うことができる
• 2. アイデアの保有者は, 資金の提供を上司に依頼する. 資金が獲得で
きなければ, 他の事業部や部長や社長に資金提供を依頼できる.
• 資金が取りやすいアイデアは, 「特許が取れる製品または工程」か否か
• 事業計画書は5ページ程度.
• アイデアに反対する場合は, 反証資料を反対側が示す必要がある (新しい種を
頭ごなしに否定しない仕組み)
• 3. アイデアの保有者はグループをつくることが推奨される (ベン
チャーチーム) . グループメンバーは, a. マーケティング, b. 技術, c. 製
造 および d. 財務が含まれるべきである. どこからスカウトしても自
由.
• 4. ベンチャーチームは年に1度評価される.
31. 3M 社内ベンチャーのプロセス (続き)
• 5. 売上が50万ドルを超えると, ベンチャーチームはプロジェクトに昇格する.プロ
ジェクトは以下の基準を満たす必要がある.
• 税引き前売上高利益率 : 20-25%
• ROI : 20-25%
• 売上成長率 : 10-15%
• 6. 30ヶ月の累積赤字が2000万ドルを越えた場合, 撤退決定
• プロジェクトはたくさん興し、たくさん殺す
• プロジェクトに失敗したメンバーはそれを非難されることなく, 新しいことに挑戦したメ
ンバーとして賞賛される (かといって大振りの三振はダメ)
• 7. 年間の売上高が100万ドルを超えると, 「ゴールデンステップアワード」を受賞
する.
• プロジェクトの成功率は10% 程度 (年間スタートするプロジェクトは100-200)
• 8. 年間の売上高が500万ドルを超えると部門になり, 2000万ドルを超えると事業部
となる.
• メンバーは組織の成長に付き合ってより高いポジションを得ることもできるし, 技術的な
自由を得ることもできる
34. IBM の社内ベンチャー
• 1980年代のみ存在 (1981-)
• 独立事業単位 (Independent Business Unit) と特別事業単位 (Special
Business Unit) という組織がつくられる
• 新規事業の創造が主な目的, 将来の成長事業を育成する
• ベンチャーの育成だけではなく, コスト圧縮も目的にあった (大企業のプロ
ジェクト実施プロセスを踏むと, どうしてもコストがかさむ)
• IBU – 開発、マーケティング、財務、生産に関して大きなコントロー
ル権を持ち, 人事権や予算権も持つ, 企業内企業
• IBM本社のIBU委員会直下に紐付けられた組織体
• 外部から独自の資金調達も可能であった
• 定期的にスクラップアンドビルドされていた
• SBU – IBU よりも独立性の低いベンチャーチーム
• IBM-PCのベンチャーチーム
35. IBM-PC の事業化
• 1980年7月, パソコン開発を開始
• 12人の独立したベンチャー事業チームを作成する
• ミッション: 12ヶ月以内に競争力のあるパソコン事業を立ち上げること
• IBM本社はベンチャーキャピタルとして, 資金を提供し, 全体的な方向性
をレビューする
• 「まるでベンチャー企業をスタートさせるような感じだった。IBM本社は、ちょ
うどベンチャーキャピタリストのように経営を指導し、我々に資金を提供したが、
あとは自由に進めることができた (プロジェクトリーダー, フィリップ・エスト
リッジ)」
• 他事業部門との調整は不要だった
• 週80時間から100時間の労働が普通だった(ブラックだ!)
• 自由度が極めて高かった
36. IBM-PC (後の DOS/V 互換機) の特徴
• CPUに自社のIBM製品ではなくインテル社のチップを採用した
• オペレーティング・システムを自社開発せずに、マイクロソフトに
依頼して開発させた
• PCの内部構造に関する技術情報を早い時期に公開し、独立のソフト
ウェア外車や周辺機器メーカーが、応用ソフトや周辺機器を次々に
開発するように仕向けた
• 直系の販売チャネルだけではなく、スーパーやPC専門店でも販売し
た
⇒ アップルとは真逆の戦略。しかし, エコシステムの構築につながり
市場シェアの寡占につながった
37. その後のIBM-PCベンチャーチーム
• 1983年のパソコン市場
• アップル 24% vs. IBM 36%
• その後, パソコン市場はIBM-PC互換機の寡占状態が現在も続
く.(アップルのシェアは5% 程度)
• ベンチャーチームのメンバーはIBMを去ったり、出世した
• 「自由」がなくなったから?
• IBM-PC の成功は, IBM 全体の社風でさえも変化させた
• 後に, IBM はPC事業をレノボに売却した。
39. 情報発信
• Twitter
• @harayasushi
• Facebook
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• Facebook Page
• https://www.facebook.com/businesstheoryk2013
• 講義の予定を掲載したり、講義資料をアップしたりします
• 9月+10月のパスワード: globalstrategy