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1. 著作権法改正とＤＡＩＳＹ教科書
による教育支援
障害者放送協議会著作権委員会
井上 芳郎
2010年1月9日

2. 著作権法改正（2010.1.1施行） 文化庁ウェブページより
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/21_houkaisei.html

3. 第37条 第3項 関係 ①
対象者の拡大
 これまでの「視覚障害」から対象範囲を拡大し
「視覚障害者等」を新規に定義。
※「視覚障害者等」 ＝「視覚障害者その他視覚
による表現の認識に障害のある者」
※政府公式見解では、発達障害等（ディスレクシ
ア等）も含む。
※対象者の確認方法は法文によらず、情報提
供主体でガイドライン等による。原則として、
「障害者手帳」や医師の「診断書」等は不要。

4. 第37条 第3項 関係 ②
複製等が認められる主体
 著作権者の許諾なしに複製等のできる主体を、
「福祉に関する事業を行う者で政令で定めるも
の」に拡大。
↓
※公共図書館・大学図書館及び類似施設・学校
図書館・各種障害者等支援施設・文化庁の指
定する一定の要件を満たす法人
※問題点→いわゆるボランティア等を個人レベル
では指定できない。

5. 第37条 第3項 関係 ③
認められる行為
 新規に「視覚著作物」を定義し、 「視覚障害者等」
のために、一定の要件のもと許諾なく文字を音
声化したり、複製や自動公衆送信（送信可能化
含む）できることとした。
※「視覚著作物」＝「視覚によりその表現が認識さ
れる方式で公衆に提供・提示されるもの」
 複製物の用途として「貸し出し」に限定せず、一
部譲渡も可能とした。
 複製方式は録音に限定せず、視覚障害者等が
「必要とする方式」で出来るものとした。
※デジタル方式（デイジー図書等）も含む

6. 障害のある児童及び生徒のための
教科用特定図書等の普及の促進等
に関する法律 2008年9月17日施行
第七条 国は、発達障害その他の障害
のある児童及び生徒であって検定教
科用図書等において一般的に使用さ
れる文字、図形等を認識することが困
難なものが使用する教科用特定図書
等の整備及び充実を図るため、必要
な調査研究等を推進するものとする。

7. 教科用特定図書普及促進法
（教科書バリアフリー法）
2008年9月17日施行
第五条２ 教科用図書発行者から前項
の規定による電磁的記録の提供を受け
た文部科学大臣等は、文部科学省令で
定めるところにより、教科用特定図書等
の発行をする者に対して、その発行に
必要な電磁的記録の提供を行うことが
できる。

8. 著作権法 第３３条の２
教科用図書に掲載された著作物は、視
覚障害、発達障害その他の障害により教
科用図書に掲載された著作物を使用する
ことが困難な児童又は生徒の学習の用に
供するため、・・・・・当該児童又は生徒が
当該著作物を使用するために必要な方式
により複製することができる。（非営利の
場合は出版者等への事前通知のみで可）
２００８年９月１７日施行

9. 著作権法改正（2010.1.1施行）
第31条 第2項 関係
国立国会図書館では公衆の利用に供する
ため電磁的記録とする場合、著作物を記
録媒体に記録することができる。
↓
※国会図書館に納本済みの図書（文科省検
定教科書等含む）を、原理的にはデジタル
化できる。（補正予算127億円）
※文科省国会答弁→教科書デジタルデータ
提供について国会図書館と連携を検討。

12. 今後の課題
義務教育段階でのDAISY準拠等のバリアフリー
教科書は、国の責任で無償供与すべき。
高校以降でもDAISY準拠等のバリアフリー教
科書を、紙教科書と同価格で提供すべき。
検定教科書以外の学習に必要な図書も、バリ
アフリー化すべき。改正著作権法の実効性を
高めるための検討が必要。
DAISY準拠等のバリアフリー教科書等を普及さ
せるため、デジタルデータの集中管理及び配
信システムが必要。