市民参加で教育を変える"全体最適"の教育改革構想

市⺠参加で教育を変える
"全体最適" の教育改⾰構想
NPO法人教育のためのTOC 日本支部
理事吉田裕美子

自己紹介
• NPO法人教育のためのTOC 日本支部理事
• 株式会社ジョイワークス代表
• 13歳（中１）の男の子の母
© 2014 TOC for Education Yumiko Yoshida 1

どんな未来を望んでいますか？

現状はどうでしょうか？
• 低学年から「荒れる」子供たちが増えて
きている
• 子供の貧困が広がってきている
• 子供たちは塾や習い事で忙しく、遊ぶ時間
すら調整が必要
• 地域社会のつながりが薄くなってきている
• 公立の学校教育に不安を抱く親が増えて
きている

起きていることのつながりを
考えてみる
何を変えるか

子供たちは習い
事と塾で忙しい
親世代は仕事が
忙しい
地域内の
つながりが薄く
なっている
子供の周囲との関係性
子供たちは、限られた関係性
の中で自己を形成して
いっている

社会や家庭は学校教育
に過度な期待を
押し付けている
学校の先生の状況
先生は様々な
プレッシャーを1人で
抱えこんでいる
学校の先生同士は
あまり助け合って
いない

Benesse 教育研究開発センター、朝日新聞社共同調査
学校教育に対する保護者の意識調査 2012 ダイジェスト
（2013 年4月）

父親も母親も仕事で
忙しくなって来ている
子育て、子供の教育に
関して周囲に頼れる人
がいない
親の状況
地域内のつながりが
薄い
親は自己のリソースで
責任を果たさなければ
ならない

末子の年齢階級別にみると、末子の年齢が高くなるにしたがって「非正規の職員・従業員」
の母の割合が高くなる傾向にある。（図７）
図７末子の年齢階級別にみた母の仕事の状況の構成割合
19.4
2 1.3
2 2 .3
2 0.1
17.1
17.7
17.0
16 .7
18.1
18.2
2 0.2
2 0.8
3 4.6
8.3
16 .2
2 1.1
2 5 .7
3 3 .4
3 6 .3
3 6 .3
41.3
43 .3
44.3
45 .5
9.0
5 .1
7.1
7.6
7.9
9.3
9.9
9.6
9.2
10.3
9.8
10.8
3 6 .9
6 5 .3
5 4.4
5 1.2
49.2
3 9.6
3 6 .8
3 7.4
3 1.4
2 8.2
2 5 .7
2 2 .9
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
児童あり
0歳
1
2
3
4
5
6
7～ 8
9～11
12～14
15～17
平成25年
正規の職員・従業員非正規の職員・従業員その他
仕事なし仕事あり(63.1%)
注：1)「その他」には、会社・団体等の役員、自営業主、家族従業者、内職、その他、勤めか自営か不詳及び勤め先での
呼称不詳を含む。
2)「仕事の有無不詳」を含まない。
％
平成25年
％
平成25年
％
仕事ありは
63.1%
厚生労働省平成25年国民生活基礎調査© 2014 TOC for Education Yumiko Yoshida 11

私たちはどんな未来を
作り出すのか？
何に変えるか

• 子供たちは、限られた関係性の中で自己を形成していっている
• 先生は様々なプレッシャーを1人で抱えこんでいる
• 親は自己のリソースで責任を果たさなければならない
それぞれの人が
自己の責任を
最後まで全うする
様々な人が責任を
分かち合う
お互いが信頼し
合えている
安心・安全な
環境が
手に入っている
真の問題は何か？
子供たちが現在から
将来に渡って
充実した人生を送る
【背景にあるジレンマ】
共通目標
要望行動・手段

共通のビジョン
例えば、私たち共通のビジョンとして
こんなことは言えないでしょうか？
すべての子供たちが健やかに育ち、
仲間と共に課題を乗り越え、
自己の選択した道をたくましく
生きている社会を作る

それぞれの人が
自己の責任を
最後まで全うする
様々な人が責任を
分かち合う
お互いが信頼し
合えている
安心・安全な
環境が
手に入っている
子供たちが現在から
将来に渡って
充実した人生を送る
共通目標
要望行動・手段
インジェクション
市民一人一人が、
責任の範囲を少しずつ
広げ、地域社会内で
多角的な教育支援を
実現する

市⺠の力で教育環境を
変えるという挑戦
どうやって変えるのか？

あるきっかけで始めた活動

自分のすっき
りすることだ
けをする
2組は目立ちた
い人が多い
目立ちたい人
は、他人が目
立つのをウザ
イと感じる
人は他人の自
慢話を聞くの
は嫌だと
感じる
ムカつく人が
出てくる
ケンカをする子が
出てくる
ケンカを止める子
が出てくる
教室が
うるさくなる
授業が止まる
先生が注意する

授業が止まる
授業数が足りなく
なる
勉強できなくなる
勉強する習慣が無
くなる
頭が悪くなる
中学に行った時に間違
いなく遅れている
他の小学校の子達
は勉強している
世の中渡っていけ
なくなる
今のうちに
何とか
しなっきゃ！

こども達のチャレンジ
1. 教室が騒がしくなってきた時に、冷静に
「やめろよ」という
2. 口げんかの時点で終わらせる
3. みんなに親切にする

子供たちの気づき
「親切って何？」
• やろうとしたら何が親切なのか、よく分
からなくなった
• 仲良くすれば、それが親切なのかな？

またトラブルが起きたら
どうする？
「みんなで話し合えば大丈夫！」

保護者からの感想
• 子供たちの活動に参加して自分が変わっ
た気がする
• 本当に楽しい
• 物事を大きく見られるようになった
• 今までは目先のことしか考えていなかっ
た
• 昔だったら聞き流していたことが、今は
耳に入ってくるようになった

子供たちのニーズ
• 自分の話を聞いて欲しいと感じている子
供が多い
• 子供同士も、もっと話を聞いてみたいと
思っている
• 学校内では、構えてしまうところがあっ
て、素直に話し合えない様だ
• 「こども会議」の場をみんなが好きに
なってくれた

教育のためのTOCを活用した
学習支援の取り組み

理科
1.読売新聞の発行している「読売こども新
聞」の雨がふる理由を解説した記事を読む。
2.そこから読み取れたことの繋がりを、
TOCfEのブランチを使用して子ども達に考え
てもらう。
3.文中に書かれていることだけで筋が通って
いるか見直す。
4.論理に飛躍がある部分を見つけ、どうその
論理が繋がるかを考えてもらう。
使用したツール：ブランチ

出来上がった
「ブランチ」
小学校２年生〜5年生の
子ども達が作った
ブランチ

子ども新聞の文中の
内容から子ども達が
まとめたブランチ
暖かい空気がある
前線ができる
冷たい空気がある
暖かい空気と冷たい
空気がぶつかる
上昇気流が
生まれる
雲が発達する
水になる
雨が降る

参加した子ども達が
論理に飛躍があると
感じたところ
前線ができる
上昇気流が
生まれる
雲が発達する
水になる
雨が降る
②
①

前線ができる
上昇気流が
生まれる
雲が発達する
水になる
雨が降る
空気の中には水分が
ある
冷やされる
空の上の方はとても
寒い
コップの中に冷たい
水が入っていると
コップが汗をかく
①に対して、
自分たちの経験から
推論を導き出した結果
飛行機に乗った時に、窓
のふちに触ったらものす
ごく冷たかった

考える行程での子ども達の変化
• 学校での勉強は、自分たちの生活の中で
起きていることの「理由」を学ぶことに
繋がっていることを発見し、体験の中か
ら、推論を導き出した
• 学ぶことは謎解きのようで楽しい、ワク
ワクすると感じるようになった

私たちが発見したこと
• 知識レベルにばらつきがあったとしても、それぞれの
レベルで考えることができ、それぞれのレベルから一
歩前進することができる
• 先生や教育関係者でなくても、正しい手順と問いかけ
に従うことで、以下のことが可能となる
– 生徒達が学校で学ぶことと生活を関連づけて考えることが
できるようになる
• 自分の考えや経験から導き出した「推論」を導き出し
た上で、正しい情報を得る方が学びの手法として有効
ではないかという声が保護者側から上がった。子ども
達がテキストの内容をグループで予習し、授業はその
予習の上で実施されるという方法も一考の価値がある

国語
物語を読み解く、
自分の言葉で解説する
使用したツール：ブランチ

実施後の変化
• 本をもっと読みたくなったと子供たちが
言い始める
• 続きをみんなで考えてみようという提案
が出た

私たちが発見したこと
• 読書が好きでない子供達は、文字を追う
ことに精一杯で内容を楽しめていない
• 聞くことと、シーンのイラストを活用す
ることで、まずは物事のつながりを意識
しながらストーリーを頭に描くトレーニ
ングが可能となる
• 一度これができると、かなり長いセンテ
ンスでも、自分の言葉で説明できるよう
になる

子ども達の見つけた事、更に湧いた疑問
• 死刑があっても人殺しする人はいる
（クラウドの上段は成立していない）
• その人の命の大切さを誰が決めるのか？
• 王様の命とお母さんの命、どちらが大切なのか？
時事問題
• 死刑制度は必要なのか？
使用したツール：クラウド

「やりたくないこと」に
どう取り組むか？
• 毎冬、早朝マラソン
がある。
• 寒いし、わざわざ
体操着に着替えるも
めんどくさい。

学習態度
「先生がちゃんと教えないから
算数が分からない」
使用したツール：ブランチ、CLR（論理的に正しことを検証する4つの視点）

どんどん先に進む
質問の仕方が
分からない
このクラスは
トップの
クラス

みんな算数の
授業について
いけない
予習しない場合は、
算数の授業につい
ていけなくなる可
能性がある
先生の教え方が
悪い
先生は、教科書の
内容を丁寧には
教えない
このクラスは最上位
クラスで進み方が早い
教科書の内容は
予習してくることが
前提になっている

私たちの手で、
未来を創り出そう！

みんな一生懸命なのに
なぜ苦しいのか？
子供
たち
先生親

ギャップを埋める方法
子供たち
先生親

ライフタイム・コーチになろう！
• 学校を中心にしたコミュニティの再構築
• 「市民の教育力」の強化
年齢、性別、国籍、
経験値に関わらず生
涯に渡って共に学び
成長する関係性

結果として・・
子供が健全に育つのと
同時に、私たちも安心
して暮らせ、成長し続
けることができる
社会へ

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